もやテン2019 美術部門

一年を振り返り、僕の、僕による、僕のための、極私的なCONTENTS AWARD「もやテン」発表!
今年もやります。極私的とは言っても、ここ数年で12部門にも及ぶ大がかりなAWARDとなったので、各部門ごとに発表しつつ12/31に総括とさせていただきたく思っております。

では今年のもやテン2019は美術部門から、開幕!!


もやテン2019 美術部門

1.佐竹本三十六歌仙図絵 @京都国立博物館

2.塩田千春展 たましいふがふるえる @森美術館

3.パナソニックものづくりイズム館

 

次点 多数
一遍上人聖絵 @京都国立博物館
・日本の素朴絵 @龍谷大学ミュージアム
・遊びの流儀 @サントリーミュージアム
東山魁夷のスケッチ展 @大山崎山荘美術館
バスキア展 @森ミュージアム
MOA美術館
クリムト展「ヴェートーベンフリーズ(原寸大再現展示)」@東京都美術館
進撃の巨人展 @ひらかたパーク
リュート・ブリュック展 @伊丹市立美術館


今年の美術展は全体的に小ぶりだったと思います。
美術ファンならずとも殺到するような大きな目玉となる展覧会はなかったかなと(それでも僕は驚いてばかりだったけど)

今年は、佐竹本三十六歌仙図絵がダントツです。
次点に入っている「一遍上人聖絵」もそうだけど京都国立博物館の企画は魅せ方が本当に上手い。
チラシを見た感じでは地味でそれほど興味をそそられたわけではなかったのだけど、行ってみたら、それがどういった美術であるか、どういう経緯でできたか等、順を追って演出も交えながら上手に説いてくれるのです。もともと巻物としてまとまっていた絵を、36枚に分けて時の富豪がくじびきで競り合うなんて、ロマンじゃないですか。
たまらなく楽しかった。

塩田千春展は、入口を入った瞬間、赤い糸で埋め尽くされた空間に息をのみました。
誰もがとっさにカメラを取り出してシャッターを押してしまうさまをみて、これが美術の力なのだと感じました。
人の心をゆさぶるものを生み出すために、ものすごい時間と力とをかけているのだと。そしてそれをやる時間や力は今の僕にはないのだと。突き落とされるようなショックをうけました。これくらいの仕事をやって初めて無二の価値となり、人は人を認知するのだと思いました。

そして「パナソニックものづくりイズム館」。
これはダークホースでした。空間、展示、魅せ方、グッズ。どれをとってみても一流でした。たいていこういった博物館は、一時的な物置として作った倉庫を一般人にも開放する、くらいなものが多いんだけど、ここは稀有な例外でした。
松下電器産業が脈々と作りあげてきた多くの家電が、潤沢な空間を美しく並べられ、日本の良き時代のにおいを振り返りつつ、未来を感じとれる空間になっています。
おそらく相当優秀なキュレーターを招き、時間とお金と力を注ぎこんで、企画、構築した空間なのでしょう。すぐれたクリエイターが知恵を出しあって磨きだした空間です。グッズ1つをとってみてもセンスが良く、下手な美術館のおみやげなどよりも優れていました。□