忍び寄る魔 PART1

 

1~2週間ほど前から歯磨きの際、右下の奥歯のあたりに何かしみるような軽い痛みが出るようになった。

 

かぶせた歯が長い時間をかけて、少しずつ摩耗して、削った歯の奥の神経に水がしみるようになったのではないかと疑った。

 

4か月ごとに歯科検診に通っていて、ここ最近では虫歯が発見された記憶はほとんどない。
9月のはじめに検診に行ったばかりで、そのときにも虫歯は見つからず「ヨカッタデスネ」で終わっていたのであるが。

 

改めてレントゲンを撮ってみると、親不知が寄りかかって覆い隠している右下奥歯の横に、虫歯が広がっているのが見つかったのである。

 

「検診をしていても、見つからないものがある」

 

健康診断や人間ドックで、異常が見つからなかった。ということで、100%の安心はできない、ということである。この度の件で、それを思い知った。

 

たとえ見つかるのが遅れたとしても、治療で直せるのであればよいが、手遅れとなったのでは泣くにも泣けない。
定期検査を放棄していて、そうなったのならまだしも、検査もちゃんとしているにもかかわらず忍び寄る魔に気づけずにいるのは恐ろしいことだ。

 

以前から親不知はどうにかしなくてはとは思っていた。
医者からも、接している奥歯に悪さをすることがあるかもしれない。という予告はされていたのである。それがこの度ついに現実となったのである。
一旦、右下奥歯の虫歯となっている箇所を治療するために、親不知の接している部分を削り落としたのち、右下奥歯の虫歯部分を治療し、セメントで埋めてもらった。
ひとまず、これで虫歯の悪化は食い止めることができた。

が、次は親不知である。
いままでこわくてずっと逃げてきたが、今後また悪さをするかもしれないのであれば、今こそとどめをささなくてはならないという覚悟をしなくてはならない。

 

繰り返すが、「検査で見つからなくても安心はできない」。

これは肝に銘じておきたい。それがこの度の教訓である。

 

(シリーズ「 忍び寄る魔PART2」につづく)