
読者である自分、
「死体を買う男」の作者・細見辰時、
「死体を買う男」の中に登場する劇中劇「白骨鬼」、作者・西崎和哉。
江戸川乱歩の埋もれていた新作として描かれた「白骨鬼」そのものも、江戸川乱歩の贋作として申し分ない古典本格ミステリーとして完成されているが、その上「白骨鬼」を読んだかつての大作家・細見辰時、作者の西崎和哉との物語にも、さらに大いなる謎がかぶさっていて、マトリョーシカのようなトリックに何度も驚かされる。
「白骨鬼」の中に登場する江戸川乱歩と萩原朔太郎はシャーロック・ホームズとワトソンのようなコンビとなり、和歌山白浜の崖で自殺をした月恋病の男・塚本直の真相を追いかける。二人の駆け引きにはユーモラスな雰囲気があり、本格でありながら、娯楽的な世界も感じられる。
層の厚いミステリーとして申し分ない完成度。おもしろかったです。□
(以下、自分へのネタバレメモ。未読の方は見ないように)

・月夜の晩に女装をして月へ帰りたいという月恋病の塚本直。
白浜温泉の崖で乱歩の自殺を止めたが、自らが首つり自殺体となって発見される。
・塚本直には瓜二つの双子の弟・塚本均がいたが、性格は全く異なり、直は優秀で文学や美術が趣味。将来父・大造の県議会議員のポストを継ぐ有望な将来を求められている。対し、均は、体育会系。悪い仲間たちとつるんで悪ふざけをしている。
・真相は、父が弟・均が悪ふざけをする現場を見て怒り誤って殺害してしまった事件を、直が弟になりすまし、一人二役で事件を隠ぺいしていたが、弟の許嫁に看破される危険を回避するために、直を自殺したと見せかけ、弟になりそうまそうとしていた。
・月恋病は、直が東京でのアリバイを作るために、父と入れ替わるための変装。自殺したと見せかけていたのは、女装をした父だった。
・「白骨鬼」は実際にあった事件をもとに西崎が書いた物語だったが、自分の作品として出版させてくれと願い出た細見辰時は、実はこの事件の当事者・塚本直だった。
この事件を世に出されることを恐れ、止めるために買い取りを申し出たのだった。
・だが更に裏があり、細見は直ではなく均だった。□