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(前回のあらすじ)
前回を読んでください(古い)。
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おせち料理というものは、正月という特別なお祭りのために、各ご家庭でたいへんな手間暇をかけて、つくりこんでいくものである。
漫画「三月のライオン」第三巻では、あかりさんが手作りのおせち料理を作るというほっこりしたシーンが描かれる。昭和の男子であれば、ほっこり、きゅんとなる女性像のはずだ。
これも古き良き正月という時間だからこそに見られる風物詩だったのである。
だけど、夫婦共働きが当たり前となってしまったこの時代では、妻に料理を任せて主人は仕事という切り分けができなくなってしまった。
さらに、ここ1年のコロナの蔓延で、実家への帰省もできなくなり、正月を実家で過ごせなくなったという事態も加わり、正月の準備をしなくてはならなくなった若いご家庭では、正月の準備の仕方がわからない。
そんなご時世だからこそ、時間や手段を、お金で解決するようなこともやむをえなくなり、おせち料理のビジネスが加速していくのもやむを得ないのかもしれない。
昭和の人間が、かたくなに古き良き時代を噛みしめてばかりはいられなくなってしまったのである。
妻がおせちを買おうといった少し前は、まだ実家に帰るつもりでいた。
だが、それが無理な願望となったとき、僕の中で「おせち買おう」を受け入れざるをえなかったのである。
無念な気持ちもあるが、いつまでも古いものにしがみ付くのではなく、新しいものを受け入れる若さも必要なのだと思う。
早速百貨店で配布するカタログを眺めはじめたのだが。どう見てよいのかわからない。
「間違い探しか」
同じような料理がカタログをぎっちりと埋め尽くしている。目移りして、何が違うのかもよくわからない。
昭和にしがみついていた古い自分は、その良さも違いもわからず、ただただ途方に暮れてしまうのであった。
が。
実際に百貨店にいったとき、より取り見取りでほしいものが帰ると思い込んでいたことがひっくりかえる。カタログに記載されていた多くの商品が「完売」となっていたのである。
店員に尋ねてみると、昨今のおせち料理は、9月の下旬から販売予約が始まっており、12月に入れば、ほとんどが売り切れてしまっているという。
人気のお店のおせちであれば数も限られており、即日完売となるものもあるという。
戦場であった。
おせちビギナーの自分は完全に取り残されてしまっていたのである。
ただ、なんとなく、あるものを買う。では、いけないのである。
欲しいものに焦点をしぼって、しっかりおいかけていかないといけない。
.....とそんなあたふたしていることも含めて、はじめてを楽しんでいる自分もいた。
あらためて、なにか負けてしまったような気持と、新しいものを受け入れている生まれ変わったような気持を同時に味わうことができる体験でした。
結局どんなものが買えたのかは、お正月のブログで公開しまっす。
不器用な男でスミマセン。(高倉健)□