もやテン2020 10.仏像部門

もやテン2020 仏像部門

1.重文・二十五菩薩@泉涌寺即成院
2.重文・蔵王権現像@如意輪寺寺
3.如意輪観音坐像(塑像)@岡寺
次点
・国宝・弥勒菩薩&泣き弥勒広隆寺
・立体曼荼羅@東寺

・仏殿三尊像@泉湧寺
飛鳥寺
・三門@東福寺

美術部門に入り切れず昨年よりスピンアウトした仏像部門。
今年はますます多くの仏像に出会いました。美術展がなくなったぶん、こちらに力が流れたというほどに。
中でも、泉涌寺即成院の二十五菩薩がダントツでした。秋に東寺の立体曼荼羅を訪れて改めてすごいと思ったけれど、即成院で観た阿弥陀如来と二十五菩薩は「立体曼荼羅」に対して「立体極楽浄土」という仏像群なのだった。京都・奈良に多く仏像あれど、知る人ぞ知る即成院である。自分が訪れたときには、観光客は全くいない。完全な貸し切り状態であった。観光客がいたとしてもおそらく多くは泉涌寺に流れてしまっていたのだろう。その奥に静かに存在を放ち続ける二十五菩薩の可愛らしさと美しさ。魅せ方もよかった。仏像たちは平等院の雲中供養菩薩のように楽器を奏で、極楽世界を体現しているのだが、院内に流れていた楽曲がまるで仏様が奏でているかのような神々しい「笙」の音色で、耳にしながら仏像たちに対峙していると、本当にここが極楽浄土のような気持になってくる。行きながらにして極楽浄土を観たという不思議な体験だった。
自分史上最高の仏像との出会いだったといっても過言ではなかったと思います。
如意輪寺の蔵王権現は、金峯山寺投入堂蔵王権現よりもっと前に作られた、まさに蔵王権現中の蔵王権現であった。造りが写実的で緻密でとてもかっこよかった。持ち帰りたいと思うほどでした。
岡寺の塑像はダークホースでした。なにか大きな暖かいもので包まれるような気持になる巨大な塑像でした。
年々目が肥えていっているはずなのに、年々驚きがましているのはどういうわけか。来年もさらなる誰も知らない仏像を求めて旅を続けたいと思う。□