恒例のアトリエの大掃除を終えた。
だが、自宅の大掃除は、せいぜい「中掃除」という程度しかできていない。
まずは自宅からでは?という自分への突っ込みもありながら、いざアトリエに集合して掃除道具を手にしてみると、そんなことはすっかり忘れてアトリエの掃除に没頭している自分に気づく。
それもそのはずだ。掃除を終えると琵琶湖畔の民宿に出かけ、日本酒やワイン片手に鴨鍋をつつきながら年末最後の忘年会を実施するのである。
人参を目の前にぶら下げられた馬が走り続けるように、鴨鍋を餌にスタッフたちは掃除に没頭してしまう仕組みである。
この企画も今年で11年目を迎えた。
民宿の方ともすっかり顔なじみになって「まあまあよう来なすった」「今年もよろしく」というような言葉が交わされる。
部屋に入るや否やビールで乾杯をし、この一年で最も印象に残ったものをそれぞれリストアップする。それをその後の鴨鍋会で発表しあうのである。
まさに一年すべての総決算である。
今年はコロナ禍の影響で、美術展の中止が相次ぎ、外出もできず、前半はほぼ絶望的な状況であったが、後半にはGOToトラベルキャンペーンなどの追い風があり、自粛を心掛けながらもそれまでに抑え込まれていたストレスを倍返しのように爆発させ、一気に取り返したように思う。
結果としては、昨年以上に実りのある多くの美しいもの、楽しいものにであうことができた。
楽しい時間もつかの間、あっという間に鴨鍋がたいらげられ、それぞれのベストテンの発表が終わる。
「それでは、また来年」
帰りしな、民宿のお母さんがかけてくれた一言がしみこむ。
恒例とはいえ、ここに来られるのは来年末である。また1年という歳月を楽しみながら、苦しみながら乗り越えなくてはこの時間はやってこない。
必ず来るよ。と約束はするが。必ず来られると思っているが。この1年になにがあるのかはわからない。また来られるということを楽しみに待つ一方、いつまで約束を守ることができるのだろうというちょとした不安や切なさ。
そんな感情をこの一言からゆり起こされるような気持ちになった。
この一年間、さいわいにしてブログを続けることができたことも感謝である。
こちらもいつまで続けることができるかはわからないが、できる限り続けていきたいと思っている。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。それではみなさま、良いお年をお迎えください。□