コロナの正月を振り返る

 

2021年の正月が終わった。

 

実家を離れてから20年余、帰省をしない正月は初めてだった。
年越しそばを食べ、テレビを見て、初詣や温泉旅行に出かける。
新しい環境での年末年始は、果たしてどんなものかと勘繰っていたが、場所が変わってもやることはほとんど変わらないという結果だった。

実家では年末番組の視聴率争奪合戦のテレビ局の策略にのせられた父や兄によって、チャンネルが分単位であれやこれやと切り替えられ、何を見たのか全く記憶に残らない、というような有様になりがちだったが、今回はチャンネルを変える者もなく、年越しそばと日本酒をいただきながら、じっくりと紅白歌合戦を楽しみ、ゆく年くる年を眺めつつ、どうぶつの森のカウントダウンで年越しをした。

昨今の紅白は知らない歌手ばかりだ。と嘆く父の言葉が耳に残り、確かに知らない歌手ばかりになったと、自分も東京事変だのLISAだの一部の知っている歌手だけをつまみ食いするつもりでいたのだが、改めてじっくり鑑賞してみると、NHKやタレント、ミュージシャンたちがすべての総力を結集して紅白を作っていることがわかり、また、知らない歌手のパフォーマンスにもいろいろな発見があったりと、なかなか楽しいものだと今更になって気づいた。

嵐が最後のライブをするということでグループの誰かが「嵐が去って虹がでる」といった挨拶をしているのを聞いたとき「グループ名を「虹」に変更して再スタートか!?」と勘違いをした。

流行語大賞にもなっていた楽曲「香水」は、実はよく知らなかったが、紅白で聞いて以来「君のドルチェ&ガッパーナ~」が、耳から離れなくなってしまった。これがヒットの理由かと思ったりもした。

父が寿司屋を引退して正月の出前がなくなったことを契機に正月に温泉に出かけるのが恒例になっているが、こればかりはさすがに場所を変えても実現しなかった。
箱根駅伝も箱根湯本の温泉客がごったがえすかき入れ時であるはずが、今年は温泉客は激減だったのではないか。コロナ禍が収束したらゆっくり温泉にでかけたいものだ。


年末年始に予定していた宿題はすべてこなせなかった。
リリーさんが出演する寅さんの3作品を観た。
もともと4作品すべてを一気に観ることを目標にしていたが、最後の1作品は週末に観ておきたい。
シリーズ最高傑作と言われる15作「寅次郎相合傘」のメロン騒動は確かに壮絶だったが、11作「寅次郎忘れな草」のピアノ騒動も負けず劣らずの大喧嘩でみごたえがあった。やっぱり寅さんは最高だ。年末年始に公開されるイメージがあるが、リリーさんの3作は全て夏の作品だった。
本はミステリー2冊以上のノルマだったが1冊だけ。ゲームも2,3本やるつもりがなんとか「ゼルダ無双」1本をクリアした程度。
思ったほどコンテンツはこなせなかったが、その他、近所の神社にひっそりと初詣にでかけたり、正月特番を眺めながら雑煮を食べたり、ロンドンナショナルギャラリー展に出かけたりしていたから、こんなものなのかもしれない。


正月が終わりすぐにまた次の正月のことを考えてしまう。
「もう360日寝るとお正月」と歌いたくもなるが、毎日が日曜日ならば、お正月のありがたみも薄れてしまうのではないか。
まるで呼吸が切れるぎりぎりで1000メートル泳ぎ切ったような達成感でクリスマスにたどり着き、ようやく迎えた正月だったからこその、楽しさだったのではないか。
今週くらいはリハビリが続きそうだが、また荒波のどまん中に飛び込み、激しくもまれきった頃に、次の正月を迎えることになるのだろう。□