ゼルダ無双厄災の黙示録

 

ドルアーガの塔」という名作ゲームがある。

 

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主人公のギルが塔の最上階に幽閉された姫・カイを助けに、60階建ての塔を登っていくゲームである。
ドルアーガの塔」はシリーズ3部作構成となっており、本作はその2作目になっている。

 

1作目はカイが単身、塔の頂上を目指す「カイの冒険」である。

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3作目は塔の最上階でカイを救出したギルが、今度は二人で共に塔を下り、脱出する「イシタ―の復活」である。

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本3作は、RPG黎明期に登場し、今なおゲーム史に燦然と輝く金字塔となっている。

 

 

前置きが長くなったが、

ゼルダの伝説 Breath of the WILD」(以下、BotW)の続編という位置づけでこのたび発売された「ゼルダ無双 厄災の黙示録」(以下、ゼルダ無双)について語りたい。

 

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ゼルダ無双」は、BotWの100年前の世界を描くとされ、ファンを驚かせた。
BotWは、100年前に起こった厄災でガノンに支配されてしまったハイラル国を救うべく主人公のリンクが立ち上がるというアクションRPGである。
ゼルダ無双」は、100年前の厄災を舞台として発売されたが、さらに現在BotWの次の世界を描くBotW2の開発も別途進んでいる。
BotWは3部作として作られているのである。

 

これは冒頭に挙げた「ドルアーガの塔」シリーズ3部作を思い出させる構成である。
最初にリリースされたBotWを2作目にとらえ、「厄災の黙示録」が1作目、現在開発中の「BotW2」が3作目ととることができる。

 

ドルアーガ三部作において「カイの冒険」は、塔の最上階で怪物ドルアーガに幽閉されることが分かっていながら、塔の最上階に向かうというゲームである。
負けることが分かっているゲームをどのようにファンは受け止めるか、どのようにファンに申し開きをして作品とするか、作り手としては悩ましい課題ではなかったろうか。

このたびの「ゼルダ無双」も大厄災に敗れ、「BotW」に続く。という物語となることが見えている上での発売である。
ミファー、ダルケル、ウルボザ、リーバルという英傑たちが厄災に敗れていく様を目の当たりにしなくてはならない。そういうゲームだと思っていた。
だが、きつい結末になることがわかっていても、ドルアーガの三部作を重ねたような三作がこの時代に、しかもゼルダの伝説で実現されたことに、個人的にはむしろ大いなる期待を抱いていたのである。

 

ところが。(以下ネタバレします)

 

 

 

 

 

 

 

 

「厄災の黙示録」はハッピーエンドで物語が終わるのであった。

物語の冒頭で大厄災の真っただ中のBotWの世界から100年前にタイムスリップするガーディアンが登場する。
ここで物語はパラレルワールドに入っていたという設定だったのである。

確かに物語を進めていく途中では、100年後に敵になっているはずのイーガ団のボスが仲間になったり、クリア後にはラスボスである厄災ガノンを使ってゲームがプレイできるようになったりする。
つまり、アクションゲームとしての「夢のコラボレーション」を実現するためにも、パラレルワールドという設定が必要だったのである。

 

結果として「厄災の黙示録」はBotWの過去設定を一部踏襲するものの、物語としては全く異なるパラレルワールドとしての展開であり、3部作という構成ではなかったことがわかった...........。

令和のドルアーガ3部作と(勝手に)呼んでいるゼルダ3部作がリリースされるという小さな期待は裏切られることにはなった。
だが、そもそも無双シリーズという枠組みで描かれる作品を含めて3部作を構成するということはありえないことだとも思う。

「厄災の黙示録」は、独立した無双シリーズとしてBotWの世界観がしっかりと作り込まれ、クリア後も長く楽しめる素晴らしい作品であったと思う。

 

さて、次なるはBotW2であるが、これこそ正当なるBotWの続編として、どんなものになるか、気を長く待ちたいと思う。□