アーケードゲームノスタルジー その1

 

小中学生のころ、ゲームセンターに行くことが校則で禁止されていた。

 

不良のたまり場というレッテルが張られ、近づくことすらできなかった。

両親同伴ならば。という条件があったが、学校が「行くな」と言っている場所に、両親が連れて行ってくれることなど期待できるはずもなかった。実際、たしかに当時のゲームセンターは怖いお兄ちゃんが暴力事件を起こしたり、カツアゲをするなどの事件が多発していたのである。

 

だが、当時にもビデオゲームを一生懸命つくる人がいて、一生懸命あそぶ人がいた。

 

テレビゲームで遊びたい。
テレビにゲームが映し出され、それを手元のコントローラで操作することができる。そんな奇跡のような遊びが世の中に存在するということへの、言葉にならない圧倒的な魅力と欲望。
家庭用ゲーム機では到底実現できないような美しいグラフィックに、腹に響く重厚な楽曲たち。
そこには、自分にとって美術や芸術といっても過言ではない崇高なる期待や憧憬があった。ゲームセンターは、自分にとって教会や寺院のような場所だったのかもしれない。

だが、そんな崇高なるものに近づくことすら許されないという非情な仕打ち。
積もる欲望を果たすことのできない葛藤に日々苦しみ続けた。

類は友を呼ぶ。
ビデオゲームに強く惹きつけられるクラスメートが自然と集まり、グループのようなものができあがり、議論に花がさいた。
休日に新宿やら渋谷にでかけては、ゲームセンターには入らずに(真面目)、入口から中を覗いて、スペースハリアーの筐体に震えるほど感動したりしていた。
今から思えば、ちょっと入ってみることぐらいしたってよかったのである。
自分は、それでも校則をくそまじめに守るほどの、融通の効かない馬鹿な優等生だったのである。(つづく)