アーケードゲームノスタルジー その2

 

町の銭湯の出口横に、小さなゲームコーナーがあった。


風呂上がりついでに、脱衣麻雀やら1ゲーム遊ばせるなどして小さな収益を得る仕掛けである。
今になっても温泉宿に行くと、こういったゲームコーナーが併設されているのをよくみかける。風呂とゲームコーナーのような娯楽施設は昔から相性がいい。

銭湯上がりに靴下を履くという大義名分でゲームコーナーの椅子に座り、ついでのふりをしてビデオゲームの筐体をチラチラと見つめることを楽しみにしていた。
遊んでみたいという思いがありながらも、その一線は絶対に超えない、やはり頭の固い馬鹿な優等生であった。

ある日、19:00ごろ銭湯から出てくると、隣のゲームコーナーでちょっと悪めのクラスメートがゼビウスを遊んでいた。
ふだんデモしか眺めることがなく、実際にゲームがプレイされている映像を見たことがない自分は大喜びで彼のプレイを横から見ていたのだが、
そこに偶然にも帰宅途中の担任が通りかかり、ゼビウスをプレイしているクラスメートを見つけるや否や、猛烈な体罰を受けた。
銭湯に来ていたという大義名分をもつ自分には、体罰はまったくなかった。

今思っても、それほど叱られるようなことかと思うのだ。

とにかく、小中学生の夜遊び、ましてや校則で禁止しているゲームコーナーで遊ぶことなど、大人からしたら絶対に阻止せねばならない不良の入口だったのだろう。

そんなこともあって、テレビゲームファンの少年には日々が暮らしにくい時代だった。
そしてこの抑圧が、脳内にねじれ、一生消ええないアーケードゲームへの欲望を焼き付ける結果となったのだった。(つづく)