四国村には、結局3時間以上も居座ってしまい、気づくと昼食をとることも忘れていた。
日が傾き始めていた。猛暑の中で歩いていたこともあり、流石に腹が減る。
折角、高松に来たのだから、うどんかな、とも思ったが、うどんにするには時間がおそすぎた。ビールが飲みたい。ならば「骨付鳥」だろう。
以前、高松を訪れたとき、行列を作っていた骨付鳥の店をいくつかメモしていた。
早い時間であれば、混雑する前にさくっと入店できるのではないか。
「蘭丸」に行ってみると、開店は18時とある。駄目だ。
19時には高松を発たなくてはいけなかったのである。もうちょっと早い時間にやっている店はないか。と探したら、あった。
「骨付鳥 寄鳥味鳥」
17時開店。
現在16時30分。
ちょうどいい。
今から行けば第一号の客として店に飛び込めるのではないか、と速足で店に向かった。

....................行列である。
自分のようなにわかに対し、熱烈な骨付鳥ファンは、もっともっと早い時間から開店を待ちわびていたのである。第一号の客になるなど片腹痛い。ということか。
それでも早い時間だったから10分程度の待ち時間でカウンターに入ることができた。
列の前に待っていた甚平姿のお兄ちゃんが座るカウンターの隣に案内される。
「骨付鳥は20分ほどお時間がかかります。その間に小鉢などいかがでしょうか」
「ではビールと、もろきゅうと、ポテサラをください」
甚平姿のお兄ちゃんが注文する。対し、自分は、
「ビールと、若鳥をお願いします」
最初から、何分待たされようと「今日はビール一杯と若鳥だけ」と決めていた。
すぐにビールが出てくるが、手を付けず、若鳥が出てくるまで、サムライのような気持で、じっとビールを見つめ、待つ。
その間、甚平兄ちゃんはビールを空けてしまい、「ハイボールください。あ、漬物も」なんて言っている。
なんともうまい商売である。
本命の待ち時間という誘惑に、若鳥・親鳥以外のものを注文させる罠である。
甚平兄ちゃんだけでなく、周りの客たちは誰もが次々と我慢できずに注文を重ねていく。
看板には「2000円くらいで気軽にやれる店」とある(写真参照)が、きっと5000円は行くだろう。すっかり店の思うつぼである。
やがて若鳥がやってきた。
待ってみると大した時間ではなかった。
きっと第一陣の客のために注文前からいくつかは早く焼き始めていたのだろう。
若鳥にかぶりつき、ビールで流しこむ。
超ウルトラめっちゃくちゃ美味い!
至福。
欲望を噛みしめて、耐えて、耐えて、待って、待って、開放する。
これが美味いものを食べるときの極上のテクニックというものだ。
まいったか甚平君。

追加のビールも確かに欲しくなる。だが、強い意志でその欲望を抑え込む。
ゆっくりじっくり若鳥とビールを味わい、1時間。
きっちり、予定通り店を出た。若鳥¥900、ビール¥550で、計¥1450。
看板通り2000円未満で心の底から楽しんで店を後にした。
階段に長い行列ができている。
予約はできない店なのだろう。
だからこそ、一層うまさがひきたつということか。
寄鳥味鳥、高松屈指の名店である。□
追伸。
結局ビールがもう少し欲しくて、店を出てからコンビニで缶ビールを1本買い、高速バスを待つ間にちびちびとやってしまった...........。(なんちゃってサムライ)