鎌倉殿の13人

 

黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」のようなタイトル。

 

大河ドラマは、朝ドラと並んでNHKが最も力を注ぎ込んでいるドラマであることは知っていながら、「1年もの長期にわたるドラマを最後まで見届ける」ということに、昨今とてつもなく巨大な壁が目の前に現れたような気持になり、初回を録画したにもかかわらず、その初回すら観る前に挫折する、というような悲劇?が続いていた。

だが、今回は三谷幸喜氏が脚本を担当されるということもあり、なにかにつけ予告編やら特番が目に入っていたこともあり、惹かれるような気持で本当に久しぶりに大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を鑑賞したのであった。

 

............めっちゃくちゃおもしろくて、びっくりした。

 

まずオープニングの映像や楽曲から度肝を抜かれた。さらに、次々と現れる著名な俳優たちによって展開される、堅牢な時代劇ドラマ。それに加えて、まさにこれぞ三谷幸喜ワールド!ともいえるシチュエーションコメディが盛り込まれ、驚いたり、にやにやしたりしながら、最後まですっかり引き込まれてしまったのであった。

これが、大河ドラマの力なのか。

今改めてどれだけの精鋭のスタッフたちが、どれだけの力を、想いを注ぎ込んで、このドラマを作り上げているかを思い知ったのだった。

 

思えば、昨年や一昨年の年末はコロナ禍もあって家から出る機会がなかったせいもあり、人生でほぼ初めて、紅白歌合戦をしっかり見る。という経験をしたのだが、こちらについても、年末に残された数時間を、NHKやアーチストたちが総力を結集して番組を作り上げているのを見て、驚愕したのだった。

家族や知人らに紅白歌合戦の話しをしても、好きな歌手がでないので見ないとか、知らない歌手ばかりでわからない、というような返答が多く、まあ、自分もここ数年前まではそんな感じでいたのだが、全く見方が誤っていたのだということに今気づいたのである。

好きな歌手がでるかどうか、というのは、価値観が多様化して個々の関心がニッチに分散してしまった今の時代においてはあまり意味はない。アーチストたちは全力で歌っている、それを個々のコアなファンが応援するというので良いと思う。だが、それ以上に、紅白歌合戦というフォーマットを、限界というところまで磨き上げているところを見るだけでもう、充分満足できるほどに完成されているのである。

 

思えば、紅白や大河ドラマに限らず、作り手たちは、ファンの限られた時間に目を向けてもらうために、これまで以上の工夫や努力を重ねているのである。そんな作り手の想いにも意識を向けながら、時間争奪戦のこの時代のコンテンツを丁寧に見て行きたいと思う。

 

鎌倉殿に戻るが、丁度アニメでも「平家物語」が始まるタイミングで、今、平安・鎌倉時代に目を向けるタイミングが来ているのかもしれない。

大河ドラマをどこまで見続けられるかはわからないが、今年は何か違うような気がする。

最後まで楽しく見届けられたらいいと思っている。□