仕事帰りに、小腹が空く。
...だが、寄り道をしている時間は無い。
家に戻れば育児や家事の仕事が待っている。
入浴させた子供の保湿、着替え、歯磨き、鼻水の吸い取り。
夕食の準備に食器の片づけ。洗濯に床マットの清掃....。
ある意味、業務以上の過酷なルーティーンが待っている。
家に戻っても食事が用意されているわけではない。
大人が食べる分の食事は育児が一段落ついてから、
ようやく作り始めるのである。
食べる時間にはこだわっていない。
というか、自分は多少の空腹は我慢が出来てしまう体質なので、
小腹が空いていようと、我慢し続け仕事を優先していたのだが、
最近、ふと気付くと、げっそりと痩せてしまっているようだ...。
ほどほどにしないと、死ぬな。と思い、その日は寄り道をしたのだ。
軽く。と、自分に言い聞かせ、
串カツの店に飛び込み、生ビール1杯と5本の串カツを頼んだ。
椎茸。ハムカツ。うずらの卵。烏賊。若鳥。
黄金の5本である。
ソースをたっぷり付けた串カツを1本ずつゆっくりと噛みしめ、
味わいながら、ビールで空腹の胃に流しこむ。
なんという至福の瞬間だったろう。
自分なりにゆっくりじっくり味わい店を出たのだが、
時計を見ると、その間、なんとたったの20分であった。
たった20分...!
知らずに早食いの癖がついていた自分に驚いたが、
それ以上にわずか20分で、これほどのしあわせを感じられる自分にも驚いた。
思えばビールも最初の一杯が一番うまいものである。
勿論、そのあとも二杯、三杯...と気の置けない仲間たちと楽しめればそれにこしたことはないのだが、実はそこをごっそりと落としたとしても、20分あれば、一番おいしい宴会のエッセンスの上澄みを楽しめる。ということを学ぶ。
空腹を放置するのも危険になってきているし、
今後は少しでも業務と育児の間に、
お腹に何かを入れておくことも意識しておきたい。
気晴らしも食事も20分でも出来るのだから。急がば回れ、である。□