最後とは 知らぬ最後が 過ぎてゆく
その連続と 思う子育て(俵万智)
目の前に起きている日々の変化は、常に過去のものとなり、
そしてそれは二度と戻ることはない。
仰向けでおとなしく寝ていた赤子が、
ある日、突然ごろんと転がりハイハイを始める。
驚きと喜びに興奮する中、
仰向けでおとなしく寝ていた姿を見るのは、
さっきのが最後だったのだと、後から気付く。
そして気づいた時には
もう二度とみることはできない過去になってしまっている。
これは別に育児に限ったことではない。
尊敬する先輩と「また会おう」と言葉を交わして別れた日が、
最後のお別れになってしまうことだってそうだ。
毎日を当たり前の繰り返しと思っていたとしても、
突き詰めていけば、人が生きているという「今」は、
すべて「最後とは知らぬ最後」なのである。□