今日の一冊

 

「#真相をお話しします」 結城真一郎著 新潮文庫

 

 

夏休みということで、読書感想文。

ミステリーの夏もいい。

(以下、自分向けのメモ=ネタバレ前提を兼ねて書くので注意)

 

 

 

 

 

 

 

書店の店頭で文庫化されたことを知り、早いなと思った。

図書館で予約をしていたが、数百人の待ち状態で、いつになったら読めるものかと思っていたが、「じゃあ買ってみるか」とレジに向かう自分のような人間は、やすやすと新潮社の策略に飲まれている。

 

単刀直入に、恐れ入った。珠玉である。

ミステリーの短編集で「恐れ入った」のは、米澤穂信著の「満願」以来だろうか。

 

250ページ程度の薄い本だ。

50ページに満たない5話が収録されているが、どれも練られている。

とくに「#拡散希望」には、驚愕した。

よくも、これほどの驚きを創造できるものかと。

 

小さな島で暮らす4人の小学生が、Youtubeを立ち上げて島の生活を公開しようとするが、突然よそよそしくなる島民や家族たち。実は、その小学生の家族たちは世界的に人気のYoutubeを立ち上げており、島で子供を育てるという実験そのものをYoutubeで流して莫大な収入を得ていた。
やがて小学生の一人の女の子が崖から転落してなくなるが、真実は人気がなくなってきてYoutubeの人気を挽回することと、その女の子が秘密を知ってしまったことを理由に、殺害され、その様が配信されていたのであった。

島での育児をネタにするために移民して動画を立ち上げ、子どもを観察対象とする狂気や、それに復讐する小学生が、視聴者の投票で目の前にいる犯人を崖から突き落とすかどうかを決めるというラストは、もはやミステリーである以上にホラーであるとすら感じた。

わずか50ページ足らずの短編であるが、2時間の映画に起こせるくらいの緻密な構成と、ダイナミックな仕掛けや驚きが盛り込まれていた。

幾多のミステリーを読んでいるが、久しぶりに「恐れ入った」。□