ノーベル文学賞だとか、
百年に一度の傑作だとか、
マジックリアリズムだとか、
そういう言葉に背中を押されるようにして手にとったのだが。
..........めちゃくちゃ、きつかった。
しんどかった。
これほどまでに、読むのが苦しかった小説というのは「カラマーゾフの兄弟」以来ではないか。
むしろ今となってはドストエフスキーの方が余程読みやすかったという気すらする。
数ページ読むたびに、まだこんなにあるのか..........と、残ったページ数を見てその途方もないボリュームに大きなため息が出た。
例えるならば、泥酔した酔っぱらいの不条理でとりとめのない愚痴を、まさに100年間にわたって寝ることも許されず、聞かされているような気分だ。
じゃあ読むのをやめたらいい。というのもあるが、これほどまでに世の中が絶賛している作品を途中で投げるのは、本好きとしてのプライドが許さなかったし、なんだか敗北宣言をする自分も許せなかった。
そんな変なこだわりが自分を支配して、逃げるにも逃げられない数か月が続いた。
最初から最後までほとんど改行すらなく延々と続く600ページ。
同じような名前の登場人物が、死んだりよみがえったり、行ったり来たりしていて、なにがなにやらわからず、やがて、物語についていくのもしんどくなって、最後の方は、もはや、ただ活字に目を通しているだけで物語など全く記憶に残っていないような状態だった。
それで、ほんとうに読んだと言い切れるかどうかも怪しいが、もう読んだということにして、ただただ卒業をしたい。そんな気持ちの方が強くなって、本を置いた。
ただ、好き嫌いは別にして、良いか悪いかでいえば、当然良い作品だということはわかる。やめてくれ!と叫ぶほどにこれだけの言葉があふれ出てくることが、もう人間技ではないし、世界的に「おかしい」ことは理解できる。
だけど、それだけにこれを読み切るためには、この世界にどっぷりと浸れるだけの潤沢な時間と体力が必要であるのは間違いがない。
育児をしながらの片手間に読める本では絶対にない。
面白いと感じたエピソードはあった。
・P353 すごい娼婦たち
・P392 象女との食べ比べ対決
・・・
(その他思い出したら追記)
本作から影響を受けたか、偶然かわからないけど、下記作品たちもマジックリアリズムかもしれないと連想をした。
・野田MAP
・ブラム!
・ビッグフィッシュ
・哀れなるものたち
・「育児図」
一つ一つ読みこんでいけば、充実した読書体験はできるのだと思うけど。
専門家にとっても研究しがいのある作品なのだろうと思う。
でも、自分は当分、封印です。
NHKの100分で名著、とかで取り上げてほしい。□