磯野波平が、露天風呂にお盆を浮かべ、
日本酒を飲みながら温泉につかり、
至福の時間を満喫している。
......そんな映像が長い間、頭に残っている。
これは「温泉」と「お酒」という至福を合わせこむという、人間が手作りできる「天国」を視覚化した映像なのだろう。
だけど、実際にこれをやってみると、
健康に悪いだとか、のどが渇いてしまってそれほど楽しめるものではないとか、思った以上に準備がやっかいだとか、細かいところで「面倒」があって、それほど「天国」ではないと思い知るのだが、やっぱり人間、そこはわかっていても、少しでも天国に近づきたいと願い、旅の解放感も手伝って、そんなアンタッチャブルに手を出してしまうものなのだ。
先日、温泉に酒。とまではいかないにしても、テレビに酒。という時間を手に入れる機会があった。
ワイン片手に、今なお見終えていない朝ドラ「虎に翼」を少し見たり、奇しくも先日訪れた湯村温泉を舞台にしたNHKドラマの再放送「夢千代日記」を見たり、久々に起動したNintendoSwitchで令和の「オホーツクに消ゆ」をプレイしてみたりと、いろいろつまみぐいをしてみたのだが。
もう、これは言葉に尽くせないほどの幸せだったのだけど、とんと何も覚えていないのよ、翌日になると。
酒を飲みながらストーリーを追いかけるというのは、意外とできない。
見ているときはわかったつもりになってるけど、1分前の情報の上に今の情報が上書きされて行っているような感じで、観終わったあとには最後の1分しか記憶に残っていないみたいな。
で、翌日にまた酒を飲みながら忘れたところから、復習を兼ねて見始める。
すなわち、いつまでたってもずっと同じところを繰り返しているという..........。
...............何をしているんだ、俺は。
でも、「酒とコンテンツ」という合わせ技の魅力はどうしても捨てられないんだよなぁ。わかっちゃいるけど、やめられない。植木等。□