この春、いよいよ関西万博が開催される。
大阪万博から55年。満を持して開催される華やかなイベントのはずだが、世の中はこの祭典にどこか冷めているように感じる。
日本の経済成長を象徴してきたかつてのイベントは、今という時代にどこか噛み合っていない。
かつては、個人の頑張りはきっちりと報酬や手柄として戻り、それを受けて、さらに頑張る。という上向きのキャッチボールが続いた。
国民が一丸となって同じ目標、同じ方向に力を集結させることができていた。
今ふりかえればそれは「小さなルネッサンス」とも言えたのではないか。
対して現代は、個人がもつ時間や力はかつてより圧倒的に大きいはずだが、個々の注ぐ力の向きは、ばらばらである。
世の中が豊かになり、価値観も行動も360度方向に多様化した。
それは裏返せば、皆が力を合わせて何かを見たり、やりとげたりする「集結力」が弱まっているということである。
万博への興味がばらつくのも、この時代を生きる人の生き方の多様性に原因があるのではないか。
だがそれでも、万博には期待したい。
ただ過去の栄光をなぞるものではなく、国民の力が発散している現代の新しい表現、生き方のヒントを見せつけてくれること、「21世紀のルネッサンス」を引き起こす何らかのトリガーがあることを、小さく期待し、見届けたいものである。□