生後2か月の赤ちゃんを、
慎重に、丁寧に、なんとか腕の中で寝かし付けるが、
ベッドの上に置いたとたん、背中スイッチが発動し、
即座に目を覚まし、狂ったように泣き始めてしまう。
どうしたらいいか。
すなわち「自分そのものが、赤ちゃんを抱いたまま、
そのままベッドになれば良い」。
実際はそんなことはできない。
親も人間だ。体力の限界もある。
だが、それが世の中の親を泣かせる
「背中スイッチ問題」の究極の解決策だろう。
今目の前にある制作中のF130号の作品に、
背中スイッチに悩んでいた当時の自分がシンクロする。
広大なキャンバスの上に気の向くまま、感覚の向くままに、
絵具を置いていき、ある程度煮詰まった時、
それをそのまま完成としてしまう。
親が子をベッドに移そうとするのは、親のエゴイズムだ。
子はそのまま親に寄り添ったまま眠りたいのだが、
親の都合、エゴイズムで子を引き離そうとしている。
絵も同じだ。
今手の中で自然にあるべきところに向かっている絵を
完成させるために、作家のエゴイズムで引き離さない。
それが自分にとっての「良い絵」の解答だと思う。
絵を着陸させようとしない。
もはや今いる上空を到着地点とする。そういう境地。□