改めて、トム・クルーズは大した役者である。
年を重ねるにつれてミッションインポッシブルシリーズの「定番」が出来上がっていく様が観ていてすごかった。
「今回のトム・クルーズは、どんな挑戦を見せくれるのか」がファンの期待になっていった。
いわば、アメリカ版ジャッキー・チェンのような「挑戦」を、作品を重ねるごとに設定して、さらに過激に難易度を上げていった。
しかも60過ぎてなお続けていくその挑戦を、心から称賛したい。
8で一応完結ということで、ちょっとした「ロス」が起こっている。
改めてシリーズを見直してみようと1を少し眺めたが、
OPでべりっとマスクをはいだ下から、トム・クルーズの顔が現れたとき、
「若っ!!!」と声を出してしまった。
それくらいの変化を26年が記録している。
だけど、逆に今、シリーズ最初の作品を見たときのトム・クルーズの方が、「やせている」。
物理的に、ではなくて、役者としての貫禄というか、そういうものが1では、まだ見えていない。
悪く言えば、チャラいというか。
若いというだけでも充分かっこよくて、映画をもたせられるように見えるからだろうか。
もちろん、当時のトム・クルーズも全力で頑張っているとは思うが、そのころの彼の目標は、多分「挑戦」よりも、「キャリアを積む」ということが優先度が高かったと思う。
作り手のリクエストに120%応えていくことが優先事項としてあって、シリーズを重ねて現れて来た「無茶をしてファンを驚かせる」といったアイデンティティを出すというのは後回しになっている印象がある。
26年をかけて、自分自身の味、というか世界を、アイデンティティを作っていった。というところが、エンターテインメントを超えた、視聴者への「人生の教え」にもなっているところが、ミッションインポッシブルシリーズの、最大の凄さなのではないか、と思うのである。□