「長編小説でなくとも、ミニサイズの小さな感動にまで、
伸縮自在に対応できるのが短歌の強み」
短歌というものの意義や目的がシンプルにすっと入ってきた。
肉親が亡くなった悲しみを日記ではなく、あえて、
短歌の57577の小さなフォーマットに詰め込むということの宇宙
ここに、自分がこれまでに見て来た個々の制約が、
今、美となって、つながっていく爽快感があった。
・ほぼ日手帳の1日1ページ
どれほどドラマチックな一日であっても。どれほど退屈な1日であっても。
必ず1ページに、その日の出来事を書きとめている。
無駄な表現を極力避け、ことばを選び1ページに1日を収容するのは短歌と同じだ。
・ほぼ日「今日のダーリン」(糸井重里)
27文字40行。「ルール」があったほうが、「品質」についての言い訳ができる。
・アトリエ新聞&二紀大阪新聞
A3の2ページの紙面の、個々の記事。
狭い紙面に、いかにして情報を埋め込むか。その戦いはこれまた短歌につながる。
・映画「ローグワン」のラスト5分の詰め込み
デススターの設計図のバケツリレー。
最後に手渡されふりかえるレイア姫の「希望です」という一本じめからの、
流れ出すエンドロールとメインテーマ。
スラムダンクの山王戦の逆転の数秒の描写もつながるな。
・ドラゴンクエストのメモリ
わずか64kByte。カタカナが全部入らず「ク」がない。
「ダークドラゴン」を「ダースドラゴン」にした。
これほどの制約、緊張感のあるゲーム作りがかつてあっただろうか。
逆にだからこその、あの名作が今も生き続けている理由なのだろう。
・虎谷書店の陳列
狭い小さな店舗の陳列スペースの使い方に、美学を感じる。
ただ新刊を平積みするのではなく、埋もれている推しの名著を、
限られた陳列スペースに上手に陳列する。狭いからこそ、陳列は美しくなる。
・お弁当
小さな限られた面積のお弁当箱に、ごはん、おかずに思いのたけを詰めて
盛り込んでいく美学。お弁当アートという分野も存在する。ここにも宇宙がある。
・盆栽
・枯山水庭園
・御神輿
・M-1グランプリの3分間
要するに、狭いから、足りないから、という制約こそが、
かえって作品をとがらせ、輝かせているという事実である。
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