温泉旅館へ

 

婦人画報を眺めると「温泉アワード」なる特集をやっている。

 

洗練されたデザインの露天風呂や部屋の内装、究極の美食。

 

誌面を眺めているだけで、目が引き込まれて、

ちょっとしたバーチャルな旅が脳内で展開される。

そこには、自分が勝手に作り上げた「究極のリゾートのイメージ」がある。

が、ふと思ったのは、(婦人画報に紹介されるような高級な宿ではないが)今まで実際に温泉宿に行ってみて、雑誌に紹介されているそんな超非現実(その片鱗でも)が、体感できたという記憶はほとんどない。

 

旅をすると、大抵どこか現地の観光地に立ち寄りながら、宿にチェックインしてみたら16:00か17:00になっている。

宿の中をふらっと歩いてみたり、温泉にひと風呂はいって出てきたら、もう夕食だ。

満腹になってみれば、敷かれた布団に大の字に倒れ込み、気づけば朝だ。

あっというまに「ありがとうございました」とチェックアウトに押し出される。

要するに、「時間が無い」のである。

 

雑誌に紹介された旅を見ているとき、頭の中は、日々のストレスで濁り切った心身が完璧に真っ白になるくらいの潤沢な時間を、そこで過ごしている。

だけど、実際の旅は、早い。一泊二日なんてとてもそんな豊かな気持ちになる余裕はない。初日は行くだけ。二日目は帰るだけ。で多くの時間が割かれ、宿でストレスを解消する時間なんてのはほとんどないのだ。

 

温泉宿のサービスの体系が見直される必要があるのかもしれない。

 

一泊二泊、豪華な食事つきでいくら。....みたいな商品ではなくて、「リゾートボックス」としての商品。料理もサービスもぐっと質素にして、長く滞在できる、ゆっくりでいる。ということを優先した商品を、今こそ打ち出すべきだと思うのである。□