「人間がこんなに哀しいのに
主よ 海があまりに碧いのです。」(遠藤周作)
喫茶店の良さに気付き始めている。
スケッチブックと。鉛筆と。
漫画本1冊を持って行くのである。
そして飲めない珈琲をちびちびと
飲みながら、構成を考える。
多くの客が入り、去り、また入る。
その間ずっと構成に没頭する。
自宅に転がるような自分を惑わすものは
何一つない。ただひたすら没頭できる。
仕事場から逃げたい。
自宅からも逃げたい。
そんな僕が最後に辿り着いたのは喫茶店でした。
一人鍋に匹敵する僕のもう一つのオアシスです。□
匂う絵。というものがある。
というか、絵描きにとって、
匂う絵。を描くことこそが
目標と言っても過言ではない。
「目で見る匂い」である。
鴨居玲。
藤田嗣治。
彼らの絵からはぷんぷん匂う。
どの作品も初めて見たときは、
「キモチワルイ」のであった。
しかし何度も目に触れるうちに
この唯一無二の匂いが、快感に変わる。
国立国際美術館で開催中のクラーナハ展。
ドイツルネッサンスの作家・クラーナハ。
彼の作品もまた上記作家と同等のプロセスを経て
自分にとってたまらない作家となっていたのである。
「キモチワルイ」から「カイカン」へ。
肖像画なのに、匂う。
クライアントからの依頼にしっかり応えながら、
自分が描きたい「匂い」をしたたかに描きこむ。
美しい女性を描いているのに、
見た目の美しさの後ろにある臭さを感じてしまう。
余程好きだったのでしょうね。発狂するくらいに。
自分ももっと狂気の中に行きたい。匂う絵を描きたい。□
きれいなことばで伝えよう。□
忙しいときこそ、あえて
「わたしはひまじん!」
と叫んでみる。
もっと忙しい人がいる。
僕らはまだまだやれる!
僕らはまだまだ工夫できる!□