
本屋の店頭でみたとき「これ、売り物なの?」というのが第一印象。
例えば、タワレコのすみっこで配られているフライヤーの中にでもありそうな、10㎝四方くらい、ページ数も50ページ程度の小さい本だ。
本の裏表紙に¥550とある。
「高いな」というのが第二の印象で、いったんは手に取らずに帰る。
読んでみたいという気持ちはあった。
もしかしたら550円以上の驚きがあるのかもしれない。
でも、夏目漱石やら芥川龍之介などといった、名だたる文豪の作品が500円以下でも買えるような中で、このミニ本に550円を払う勇気がどうも湧いてこない。
それに、この程度の分量の小説であれば、この時世、アイデアさえインプットしたら生成AIで誰にでも書けてしまうのではないか、なんてことも考えてしまう。
ただ、こういう媒体が本として店に並ぶということが衝撃だったことは確かで、ひとまず脳裏にはしっかり記憶されたわけだから、読む、読まないは別として、作り手の狙いの一次予選は突破したと言えるのではないか。
自分が買わなかったとしても、どこかで誰かと会話した時の話題になって、その第三者が買うかもしれないし。
図書館にでも入らないかと思ったが、本のサイズが規格外なのか、並ぶ様子はない。
で、しばらく買わない。を選んでいたのだが。
しばらくすると、映画化するということで、さらに追い打ちがかけられた。
「え、この薄い本が映画化されるのか。もしかしてすごいのかもしれない」
で、今になってようやくというか、ついに、勢いに押されて買ってしまったのである。
................と、ここまで書いて、
これだけ引っ張るのだから、「面白かった!すごい!!」と書きたかった自分がいるのだけど。
残念ながら、そういう結果ではありません。
最後まで読んで、「どういうこと?」という疑問が残ってすっきりしなかった。というのが感想です。
ネタ晴らしも含めて書くと、山奥にあるミステリースポット=巨大な呪われた木のある墓場に肝試しに行った学生たちが、呪われたり、死んだりする話であるが、結論が、アンケート形式で書かれている。アイデアは面白いかもしれないけど、強引なフォーマットだ。
タイトルになぞらえて、口はわざわいのもと。というフレーズが出てくるが、呪われた木が呪いの木に変ってしまったのが、口のせいで、そのせいで、こんなに人が死んじゃったと。
かなり強引で、それしきのうわさが人が死ぬまでのわざわいになどならんだろうという突込みを覚えてしまった。
小さい本で、タイトル「口に関するアンケート」という案が先にあって、あとから物語をこじつけたような印象を受けた。
恋の三角関係で相手を呪いにはめて殺そうとした。失敗した。で、全員で木の周りに集まって、告白をして順番に死にましょう。みたいなラストだと読んだけど、飛躍しすぎちゃっていて、怖いというよりも変な話という印象だった。
創作怪談というジャンルは、本屋にいけば平積みになっているし、映画化だってされている。今トレンドかもしれないが、自分はこのジャンルの本を手に取るのは、しばらくお休みしようと思う。
怪談は今も好きだけど、こちらも歳を重ねてしまったのか、ノリが合わないように感じてきているし。
怪談というのならば、「踏切の幽霊」くらい深くてずっしりくる物語でないと、沁み込んでこない。
550円は勉強代だったと受け入れる。□