2つのドラマ。

 

朝ドラ「虎に翼」が、めっぽう面白い。

 

実在する史上初の女性弁護士を主人公にしたドラマだということだけど、

ドラマとしてかなり脚色していることは、感じている。

事実をそのままドラマにしても、視聴者の目を引くことが難しいのだろう。

女性の社会進出が虐げられていたという時代を、わかりやすく伝えるために、華族の女性や、海外から来た女性、貧乏で家から逃げ出した女性など、ろいろな立ち位置のキャラクターを配置して、イベントを盛り込んで、物語を際立たせる。

家族像の描き方も、いわば漫画的で、わかりやすく、面白く、個々のキャラクターの性格や挙動をデフォルメして描いている。

 

いわば、味の素がつくりだすうまみのようなドラマだ。

うまみをつくるのに、化学調味料は邪道だ。という人には向かないかもしれない。

でも自分は、手段はどうあれ、美味しいのであれば、肯定する人間だ。

弁護士というキャラクターがこれまでにドラマ化されて成功した事例は多くあって、そのときに確立されたノウハウがあれば、史実をたどらなくても、物語をおもしろくすることは容易なのかもしれない。

素直に、つくりあげれた戦う女性のドラマを、楽しみたいと思う。

 

対して、大河ドラマ「光る君へ」は手探りだ。

史実はありながらも、残されている資料は少ない。

戦のない稀有な大河ドラマとして、ほとんど残っていない記録の隙間の部分を埋めながら、おもしろくドラマをつくりこむということを、脚本家自身が手探りをして探しながら描いていることが伝わる。

虎に翼のような王道はなく、「今、探しているかんじがする」ドラマだ。

視聴者も、おもしろいところはどこ?と探しながら見ている感じがする。

即物的に見るのではなくて、作者たちと共に探しながら見ていくというのは、それは新しい体験で、どうなるかもわからない新しいドラマを共に作る気持ちで観ることができる。

 

両作の、成功を祈る。□