勢いとエレガント

 

鬼滅の刃」の劇場版アニメーションが公開3日間で46億円の興行収入となり、日本新記録更新とのこと。

 

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実は「鬼滅の刃」は未だ読んでいない。

 

鬼滅の刃」に限らず、週刊少年ジャンプには他にも人気作品は数多くあり、きっとどれも甲乙つけがたく面白いのだと思う。
そんな中で「鬼滅の刃」が独走してこれだけヒットしたことは「おもしろさ」以外の要因がいろいろ相乗的に重なっての結果なのだろうと思う。

 

昨今「約束のネバーランド」と「ハイキュー」と「鬼滅の刃」という大人気の作品が、大団円?となり完結したことが話題になっていたようだ。

 

かつての週刊少年ジャンプを愛読していた少年として、このセンセーションには「時代」を感じている。

僕の中ではジャンプと言えば「キン肉マン」「ドラゴンボール」「男塾」「北斗の拳」といった歴代の名作たちが記憶に焼き付いている。

当時の漫画は「鬼滅の刃」や「約束のネバーランド」のような「エレガントさ」がない。
現代の漫画は、あらかじめ物語が綿密に組み立てられ、結末までしっかり決められたうえで執筆が始まっている。だから物語が最後まで描かれれば、ファンにとってどれだけ名残惜しくてもしっかり終わるのである。

 

だが、僕の少年時代のジャンプの作品は、ほぼ「いきあたりばったり」だった。

キン肉マン」に登場する七人の悪魔超人は、初登場の回にいたはずの7人が、次の回には全く違うキャラクターに置き換えられてしまったし、物語を結末まで描いたはずが、さらなる新しい敵が現れて、「まだまだ続くでやんす」と人気が続く限りエンドレスで連載が続いていく......(これにより作者がぼろぼろになり、二作目以降が全くヒットしなくなるといった事態も頻発した)。

 

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↑七人の悪魔超人初登場時(お尻マン!?アメリカ国旗マン?がいるが...)

 

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↑七人の悪魔超人(最終段階。お尻マンやアメリカ国旗マンは居ない....)

 

 

いわば当時のジャンプ作品の多くは「勢い」で描かれていたのである。

「勢い」ってのは実はとても大事で、だからこそ「キン肉マン」とか「ドラゴンボール」で、多少こじつけたような展開があったり、キャラクターのしれっと差し替えがあったりしても、それもまた漫画に勢いを与え、逆に深いおもしろみとなって、作品が永続的に生き続けるのである(今になってもファンが増え続け、二次、三次、四次....といろいろなメディアに展開され、収益をあげつづけている)。

実際、今読んでみても、全く古くないし、おもしろく読めてしまう。

そういう勢いがかつての漫画にはあったのです。でも今の漫画のようなエレガントさはなかった。逆に今の漫画に、当時のような、不条理な勢いというものは、あまりない。

どっちがいいというわけでもない。

かつてあった名作の上にまた次の名作が出て、リレーのバトンのように漫画の歴史がつむがれ、続いていくのである。

 

作り手は、年々目の肥えていくファンたちを、さらに驚かせるために、いっそうの生みの苦しみを抱えながら作品をつくられるのだろうと思います。

今や漫画やアニメはサブカルチャーを超え、世界に名だたる日本の文化になっています。

 

マンガファンとして、アニメファンとして。

そんな時代の変化も感じながら末永く楽しませてもらえたらと願っています。□