評価しているのは、僕なのではなくて、
評価されているのが、僕なのではないか。
描き始めて15年。気付けば審査されるのではなく、
審査することを求められる立場になっていました。
光のような時間でした。
僕がこれまで美術からもらったものを、
美術にすべてお返しする時間のような。
そんな、光のような時間でした。
目の前を次々を流れていく作品たち。
それぞれの描き手たちが絵に込めた想いを、
わずか5秒程度で次々と拾い上げていく時間。
誤りなく、中性、中立、中庸に、
作品のエッセンスを拾い上げることが求められていました。
審査されるのは作品なのではなくて、僕自身だったのでした。
僕が間違いないと挙手した作品でも、誰一人挙手しなかったり。
僕以外の皆が挙手した作品でも、僕は挙手できなかったり。
そんなすれ違いのような空気が時折あることに戸惑いながらも、
僕なりに自分を信じて、中性、中立、中庸に審査を行いました。
グランプリをとったのは、僕などより遥か歳上の70代の女性でした。
そんな方に僕が審査する権利などあったのだろうか。
そんなとまどいも抱えながらとても貴重な経験をさせて頂きました。
いつもどんなときも胸をはれる誇り高い仕事を続けていなくては
ならない。改めて気を引き締める貴重な勉強の機会となりました。□