出会いを大切に。

個展で作品を発表するようになり、

お客さんを迎えるようになってから

出会いに対する意識が強く変わった。


人って実はそんなに容易に出会えない。

のです。


社会的な立ち場がはっきりしている。

かつ、信頼される第三者の紹介がある。

それで初めて人は人と出会うことが許される。

逆にこれが揃わないと人と人は出会えないのです。


例えば。

僕が敬愛する宮崎駿氏に個展の案内状を

お送りしたところで、

「誰だこいつ?」となって、

案内状は即くずかご行き。となるのです。

仮に僕の仕事がしっかりしていることが概ね

伝わっていて、かつ宮崎駿氏に近しい信頼

されている人物が僕を紹介してくれる機会があれば、

「あのときの!」とか「あの仕事の!」となって、

案内状を受け取ってくれたり会場に来てくれたり

するわけです。


サラリーマンにおいても同じで、普段の仕事を通じ、

上司から先方への自分の紹介があって、

名刺交換されることで初めて交渉開始できるのです。

いきなり単独で「ちわーす」と憧れの会社の扉を

開けみても、門前払いとなってしまうだけです。

 

道端で出会った女の子にいきなりアプローチしても

「あなた誰?」になってしまうのです。

同様に仕事の質や、知人からの仲介によって、

アイデンティティの証明をしてもらわなくては

つながることはできないのです。

 

ふだんから良い仕事をしており、自分の力で、

または第三者の信頼を得て紹介いただかない限り、

憧れの作家やお客さんに案内状を送ることはできない。

 

それ以来、出会いをとても大切にするようになりました。

 

一度個展に来てくれたお客さんには毎回必ず案内を出します。

来てくれたらお礼状も出します。

貴重な出会いがあれば必ず名刺をお渡しし、住所も必ず伺う。

 

地味です。地道です。時間がかかります。

 

でも出会いを充実させることにショートカットはない。

こつこつと。ひとつひとつを大切にして、巡り会って

出会いを広げていかなくてはいけない。

いきなり上澄みの世界の住人とつながることなんて

できないのです。

仮に宝くじにあたるように出会えたとしても、

すぐその浅さが看破されて関係を続けることができなくるのです。


みんな出会いを粗末にしすぎ。もっと出会いを大切にしよう。□