今日の一冊

戦火のなかの子どもたちいわさきちひろ

いわさきちひろと言えば、
美しく明るい色合いの瑞々しい透明水彩で、子供達の「光」を
描く作品が印象的だが、本書は「影」を描く。
華やかな色は全くない。モノトーンで描かれたこどもたちと、
選ばれた小さな言葉が戦争の残酷を強く伝える。

昨日あった木がなくなってしまったことや、目の前に現れては
消えていく現実を、ただ、純粋なこどもたちの視点で描きとる。
はっきりとした言葉で戦争への非難を問いかけるより、
どんな境遇でもただ目の前だけを見ている子供の純粋な視点が
直接的な表現よりもむしろいっそう強い痛みを感じさせる。

こどもたちをいろいろな角度から見つめ続けて来た、
ちひろの感性や表現力に改めて感服する。□

 

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