YAMAZAKI!

今や世界的ブランドになったジャパニーズウイスキー山崎が生み出される聖地である。

10年程前に何度か山崎ウイスキー工場見学に伺ったものだ。とても豊かで楽しい時間を体験できる工場見学だった。
だが、最近工場見学に行った知人から聞くとそのサービスはここ数年ですっかり様変わりしてしまったという。

かつて、工場見学は無料だった。

インターネットで予約し、指定された時間に工場入口の受付に行くと、まず山崎のロゴの入ったウイスキーグラスを1つ無料でいただく(自宅にはこのグラスが2,3個ある)。

20~30名程の見学者が集まり、所定の時間になるとコンパニオンのお姉さんが、ウイスキーが実際に製造される全ての工程、機材を紹介して回ってくれる。

一周観終わると、山崎12年で作ったハイボールの試飲コーナーがあり、制限時間内であれば何杯でもおかわりが出来た。
その後に待つのはお土産コーナーだ。
山崎10年~をはじめ、ここでしか買えないロットリングナンバー入りの山崎など、レアなウイスキーがたくさん取り揃えられていた。更に特製のウイスキーグラスやバッグなどのグッズも溢れている。
更に更に、その後には、山崎18年~をはじめ、世界中の様々なウイスキーを格安で試飲できるカウンターバーがあった。
ウイスキーファンには全くもってたまらない、至れり尽くせりの工場見学ツアーなのであった。

だが。

昨今、そんな素晴らしい見学ツアーは全て姿を消してしまったようだ。
まず工場見学は有料となったようだ。
無料で見学できるのは、工場の模型を俯瞰して眺めるだけとのことだ。
お土産コーナーでは、ご本尊の山崎ですら売られていない。
試飲コーナーの山崎12年ハイボールも最早過去の栄光だ。

サントリーにとっては、嬉しい悲鳴なのかもしれない。
ジャパニーズウイスキーの価値が世界的に認められて、ブランドとなり、想像を超える品薄状態が生まれたのである。
だが、ウイスキーは10年以上樽に寝かせて作るため大量生産ができない。品薄になれば、また10年という長い歳月を待つしかない。

日本が、北摂が世界に誇るウイスキーを作っているという事は大いなる誇りではある。

だが、肝心の日本人が口にできないまで遠いものとなってしまうのは残念でならない。

かつて手に入れた4種類の山崎ウイスキー
今となってはとても手に入るまい。神棚に上げて手を合わせるしかない。

これらは定年退職でも迎えた時に呑むことを楽しみにしている。

サービスを豊かにし、たくさんのお客さんを集めるすぎても、かえって事業の首を絞めることになる。

そんなことを念頭に、しっかり変わり果てたといわれる工場見学もこの目で確かめてみたいと思っている。□