ここにも光と影

新しい眼鏡を購入した。

折角だから、これまでに一度もかけたことのない
太いフレームのものにした。
散々迷って選んだ一品だったし、知人からの評判も
なかなか好評だったので(お世辞かもしれないけど)、
自分なりに満足していたのだが.....。

かけ始めてすぐに問題が浮かび上がってきた。

痛い。のである。

これまでかけていた眼鏡のフレームは細くて軽いもの
だったから気付かなかったのだが、太いフレームは
やっぱり重い。
ずっとかけていると時間とともに鼻筋に喰いこんできて、
やがて耐えられなくなってしまった。

ここにも光と影があった。

僕らは何かを選択するときに光だけを見がちだ。
だけど光があれば必ず影も共存しているのである。
表層を覆う光の下にあるものを見極める冷静さと眼識が欲しい。

まあ、見極められないからこそ世界は面白いのかもしれないけれど.....。□

点と面

点が3つあれば面ができます。

1つでも2つでも駄目です。

点は3つでなくてはならない。

逆に、3点さえあれば充分なのです。

そういう展覧会を目指しました。

第7回増田力也個展、いよいよ開幕します!.....来てちょ。□

 

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あのころ ~配属日の居酒屋たちばな~

新入社員がわが部署に配属されてきた。

会社にすっかり深い根を張ってしまったおぢさんたちが巣食う職場に
きらきらとした光が差し込む。
誰もがまるでかぐや姫を見つけた翁のような目でその光を眺めている。

新入社員だったころのことを思い出す。

配属が決まった日の夜。
飲みに行くぞ!と課長が僕一人をつれて会社のそばの居酒屋へ
連れて行ってくれた。
住宅街の中にポツンと灯りをともす小さな店だったが、
その外観からは想像できないほど、店内は多くのサラリーマンが
ひしめいていて、うるさいほどの賑やかさだった。
まだお酒の飲み方も知らず、蚊の泣くような声で話していたら
喧噪に声がかき消されて、なかなか課長まで声が届かない。
次第に酔いが回っていく課長は焼酎のお湯割りに沈んだ梅干を
割り箸でつつきながら「早く即戦力になってほしい!」と
何度も何度も繰り返していた。
僕は焼酎の中で粉々になった梅干をぼーっと眺めながら、
酒に梅干なんて本当にうまいのか?などと考えていたように思う。
あれから長い時間がたって、お湯割りの梅干は欠かせないものと
なってしまった。
あのとき連れて行ってもらったお店は今はもうない。
住宅地の闇があの店の跡地を飲み干して、あのときあれだけ
賑やかだったお店がここにあったことが嘘だったかのように思う。
それから1~2年ほどたったころ課長は別の部署に異動となって、
僕もその数年後、別の部署に異動となった。
それからは一度も会う機会はない。
もしかしたらあの店も課長も狐の仕業だったのかな、なんて
考えてしまったりする。そんな長くも一瞬の時間を振り返る。

さらば青春の光。そしてようこそ、かぐや姫。□

今日の一冊

「劇場版BLAME!弐瓶勉描きおろし設定資料集」講談社

「BLAME!」の世界観は、未だにわからないことばかりだ。
わからないことばかりなのだが、
この世界観をどうしても読み解きたいという
想いがあり、今なお読み返している。名作である。
このたび劇場アニメ化に合わせて発売された本設定資料が、
理解の助けになるのではないかと手に取る。
わかったこともあり、またわからなくなったこともある。
そしてますますこの作品から目が離せなくなるのである。□

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カール愛

 

カールの(東日本一帯での)生産終了が報道された。

 

大ショックであった。
こんな日が来てしまうなんて....。未だに信じられない。
悪夢なら覚めてくれと願う。でもこれがリアルのようだ。

ちょっときつい表現になるかもしれないが、
個人的に、明治はカールときのこの山の2つを作るために
存在している会社であると思っていた。
それ以外の製品は全て「オプション」であると思っていた。
更に極端な話、会社名は「明治」ではなく、
「カール株式会社」としてもよいくらいに思っていた。
自分が物心つく以前から世に存在し、どれほど食べたかわからない。
うまい棒では決してたどりつけないパフのトップランナーである。
マロンだの抹茶だの亜流種につっ走るきのこの山を横目に、
チーズと薄味で闘い続ける一途さにも硬派を感じていた。
その歴史的名作を生産終了とは.....。ご乱心ですよ、明治殿。
吉野家が牛丼やめます。といっているようなものです。

勿論、作り手としても、苦渋の決断だったのかもしれない。
できることなら自分たちの代ではなく、次の代にでも決断を
ゆだねたかったのかもしれない。
しかし、それでもやっぱり納得はできない。
人気が落ちても連載はやめない!と言ったこち亀のような信念は
最早ないのだろうか。ないのだろうね....。
ロゴマークを変えたころから徐々におかしくなってしまったね。

残念です。2017年、屈指の無念です。□