新たなる旅立ち

長崎から東京に戻ると100号の審査結果が届いていた。


結果は「選外」。落選であった。


目を疑った。なんだかんだで落ちるわけはない、という確信のようなものはあったのである。この2ヶ月はその確信を得るにふさわしいくらいこの100号に没頭していたのだ。しかしそんなものは審査員には微塵も伝わることなくこの結末となった。非情にも押印された「選外」の二文字からしばらく目が離せなかった。この気持ちは言葉では言い表せない。


頭の中が真っ白になった。激しく落ち込んだ。寝ることにした。


翌朝になると混乱はだいぶやわらいでは居た。仕事はあいかわらず忙しくてそれがかえって有り難かった。余計なことを考える隙間を頭に与えないおかげで苦しむことなく落ち込みも少しずつやわらいだようである。



振り返ると出品後の確信は確かにあったが、不安も相当あった。その不安が審査員に看破されたのだと思う。人は他人のことは見えすぎるくらいに見えてしまう。稚拙さや弱さは隠そうすればするほどその見苦しさが目に付いてしまうものだ。要は、100の技を持ちながら1を魅せるのではなく、1の技しか持ち得ないものを上手く魅せようとあがいていた。その見苦しさが看破されたのだと思っている。


昨日はショックでもう筆は握れないのではないかと思っていたけど、やっぱりこれやめたらもう俺、生きてる意味ないし。描くしかないんだなあ。


また技を1つでも身につけられるよう進んでいきます。□