展覧会 「男鹿和雄展」 (7点/10点)

トトロの森を描いた人、男鹿和雄の展覧会に行ってきた。


トトロ以前の「あしたのジョー」や「侍ジャイアンツ」に始まり「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」その他もろもろ、氏のこれまでの業績の中から500点にも及ぶ膨大な背景画、スケッチが展示されている。


会場である東京都現代美術館はなかなか辺鄙な場所にあり、これまでの企画もどちらかと言えばコアなファン向けのものが多かった。
そのため、これまではあまり大混雑という場面にでくわしたことはなかったのだが、ジブリとなるとやはり話が違う。
チケットを買うのに40分、入場に20分待たされる(後に更に列は膨らみ、自分が出る頃には入場70分待ちとなっていた.....)。
せめてチケットは正面のローソンで買うのが吉である(FYI)。


さて、肝心の展覧会だが、いわずもがな全くもって驚くべき観察力と緻密な描写力だ。
このクオリティを維持し続け、多くの作品に携わってきた深みに、ただただ感服するばかりである。
後半の実際に背景画ができるまでの過程やセル画との合成技法などの紹介も必見である。
トトロを折り紙で折ろう!企画もほんわかしていてよかった。


ただ、図録に掲載されたインタビューにて男鹿氏曰く、


「監督の演出がすごいのであって、自分はたまたまそれにあった絵を描いただけです」


とある。全くもってそのとおりだと思う。
背景画は「作品のための部品」なのであった。それ以上でもなくそれ以下でもない。
監督の持つイメージをキャラクターに載せてその上を走らせることで始めて活きるものであった。
なので本展は、これらの背景画を作品として見るのではなく、アニメ作品の裏側の一部を覗く機会。と捉えて見るのがよいと思う。




で、これで帰ろうかと思っていたのだが。



偶然、常設フロア3Fで岡本太郎の「明日の神話」が展示されていたので見学した。


.....!!!!!!!。


吃驚仰天である。


.....大変申し訳ないが、男鹿和雄展が完全に飲まれてしまいました。


岡本太郎作「明日の神話」(100点/10点)


20メートル×5.5メートルの超大作である。
体育館のような巨大な部屋にその超大作が鎮座している。
絵そのものが良いとか悪いとかそんなもの完全に超えてしまっている。
人間の生命力のエネルギーというものがこれほどまでにすごいものか、というのを思い知る。
メキシコにて発見され修復される過程もビデオで見られるようになっていたが、その過程含め、生きるということのすばらしさを賞賛したくなる。泣いている女の子もいた。
これは見ておかないと駄目だろう。人間として。
思わぬ足止めをくらって、結局閉館まで居座ってしまった。でも大満足であった。


どちらがいいとか悪いとか言うつもりもない。
ただ「部品としての絵」と「絵としての絵」の両方を同時に見て脳みそが激しく、ゆれた。□



(追伸)
滑り込みセーフで参議院選挙投票も完了。さて選挙ステーションでも見てみよう♪



●前回見学の展覧会→「レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像展」