こんな夢を見た。
日本の自然を描くスケッチ大会。というコンクールに参加することになった。
日本全国からスケッチの猛者が集結し、決められたエリアにて制限時間内でスケッチを行うという、いわゆるスケッチの全国大会らしい。
開催日当日、数百名に及ぶ参加者が主催者である平山郁夫画伯のもと、会場の世田谷ボロ市通りに集結した。
おごそかに開催が宣言されると、参加者は一斉に波を打ったようにそれぞれのスケッチポイントを探して走り出した。自分も負けじと走り出した。
参加する以上はなんらかの賞を受賞しなくては。と今回は画用紙4枚分の大作を仕上げるつもりの意気込みであった。
ところが、描けど描けど全然うまくいかない。
緑色を作りたくて黄色と青色を混ぜているのに赤色ができたり、赤色を塗っているつもりが青色になったり。とにかく何もかもがまったく思うようにならない。
制限時間が迫り、焦った自分は会場を一旦去ることにした。
世田谷線に乗り、自宅マンションの非常階段の踊り場まで来ると続きを描き始めた。
パレットにあれだけあったはずの絵の具がいつの間にか、赤色と青色しか残されていない。仕方がないからこの二色だけでもくもくと描いている。
そのうち焦る気持ちは収まり、今回は敗北を決意した。賞はあきらめた。
むしろ、制限時間を設けられると自分は描けない、ということを知ったことに満足すらしていた。
ところがたまたま通りかかった二人のおばさんに「これではコンクールは無理ね」と駄目出しされて、落ち込んでしまう。□
●→第三夜