映像革新のはざまで

3Dブーム到来か?


ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」の興行収入が、「タイタニック」の記録18億4290万ドル(約1659億円)を抜き、18億5500万ドル(約1670億円)となり、歴代記録を塗り替えたようだ。


キャメロン監督の14年ぶりの作品という注目が集まったことに加え、映像の次なる映像技術である3D技術を投入したことが話題になったようだ。


だが、正直なところ、自分はこの世界的な狂騒振りをかなり覚めた目で見ている。


アバター」は本当に面白かったか、といえば、これは前書いたとおり、既存のストーリーの焼き直しという感じがして、とりわけ面白いという印象も受けなかった。

今ふりかえると、惑星の原住民と和解を求めようとする科学者と、武力で縛ろうとする軍隊の対立のあげく、結局「武力の戦争」で勝敗を決定させるという展開にむしろ、「まだこんな描き方をしてるのか」と古臭さを感じて、あきれかえってしまったくらいである。
どうやって科学者が軍隊を言葉で説得するか、という展開を完全に期待してしまっていたから。


「言ってもわからないやつはぶん殴って納得させるしかない」というストーリー展開は、時代錯誤じゃねえのか、と思ってしまう。


更に、3D技術についても、20年ほど前に「キャプテンEO」で経験済みだ。
とりわけまさに今はじめてみた!新しい!という感じでもない。
確かに奥行きを出したとかあるみたいだけど。


メーカーも次なるネタ不足にあえいでいる中、すがるように3Dテレビだとか、のたまっているが、本当にそんなものほしいのだろうか?
むしろ、どこでもドア作ってくれよ。といいたい(無茶言うな)。


と、散々世の中の流れにさからってしまう自分なのだが、唯一。


唯一、すごいのは、ジェームズ・キャメロン監督はいつも「映像革新のトリガーを引くキーパーソンになっている」というところだ。


ターミネーターは、1ではコマドリだったアンドロイドが、2ではCGに代わり、そのあまりのリアリティに驚愕した記憶がある。
それから15年ほどたって、今度は飽和したCG映画を3Dに置き換えようとしている。


映画そのものの出来というより、映像技術を先に進めよう、という想いの強さは本当にすげえなあと思ってしまう。


これはオリンピックで2回連続金メダルをとるのと同じくらいすごい。
事実、自分が作った記録を自分で塗り替えたりしているのも、すごい。


嗜好性というところではもういたしかたがない。とにかくその想いにただただ感服するのである。□