光と幸

昆虫は、光に向かって飛び続ける。


昆虫は、ほんとうは「光そのもの」になってしまいたいのだろう。


でもその願いは未来永劫叶うことはない。


昆虫は、だから飛び続けるのだ。飛び続けるしかないのだ。


光のまんなかを目指して。



人間は、しあわせに向かって走り続ける。


人間は、ほんとうは「しあわせそのもの」になってしまいたいのだろう。


でもその願いは未来永劫叶うことはない。


いつもしあわせの周りを走り続けるだけだ。


決してまんなかにはいけない。


人間は、だからいつも不幸だ。


人間は、だから走り続けるのだ。走り続けるしかないのだ。□