今日の映画 「せかいのおきく」

 

 

 

映画「せかいのおきく」を観た。

 

黒木華・主演の青春時代劇とも言えるが、

本当のテーマは「循環社会」。

 

有り体にいえば、

糞の映画です。

糞な映画ではなくて、

糞の映画です。

糞を描いた映画です。(汚くてスミマセン)

 

時代劇といえば、チャンバラが王道で、

最近は料理人を扱うといった変化球も

観られるようになってきたけれど、

この映画は、なんと「糞」である。

史上初の「うんこ時代劇」である。(何度もスミマセン)

 

娯楽として充分面白いし、

こんな時代や世界があったのかという

驚きや発見もできる名作ですが、

その下に流れる「循環社会」というテーマに行きついて

映画化に至るまでの監督や監修のインタビューも面白い。

 

 

 

 

鎖国時代の江戸に住む100万人の人々が食べて生きていくために、

様々なものをリサイクルして使い尽くすことは徹底されていて、

中でも、江戸に住む人々の糞を買い取って、

農家に売るという世界的にも稀有で不可欠な事業があり、

それによって鎖国時代の人々の食生活を回していた。

 

バイオエコノミーやサーキュラーエコノミーというテーマが

企画の案として出たとき、

せいぜいペットボトルを分別したり、

フードロス食品を買うぐらいしかできていない現代を舞台に

「循環社会」を描いても共感する作品は作れない、と監督は

思案していたようだけど、

江戸時代でみると循環社会が完成されていて、

「うんこならできる!」と叫んだところに、

監督のイノベーションの爆発があったのだと思う。

 

現代に全てを取り入れることはできないまでも、

過去にあった優れた知恵や取り組みを、

鑑賞者に共有して、知っていってもらうことで、

未来の良い日につなげる。というコンセプトで

本作は作られたようである。

 

良いテーマだけど視聴者の目線に合わない。という課題を

「糞」とか「恋愛」という、目を引くモチーフを取り入れて、

見やすく娯楽化し、伝えることに成功している点が見事でした。□