ホラー映画論
ホラー映画が好きである。
来るぞ、来るぞ...と引っ張って引っ張って、バーン!と現れる。
わかっているけど、大声を上げてびびる。
が、その刹那、びびった自分の姿のみっともなさに気付き、大笑いしてしまう。
たぶん、びびる自分と大笑いする自分のコントラストが好きなのだろうと思う。
ゾンビファンである。
ゾンビ登場以前は、ドラキュラや狼男といったモンスターがホラーの王道だったけど、ゾンビが登場してからは王道は古典となり、今やゾンビこそがすっかりモンスターの代名詞として置き換わってしまった感がある。
今やライトノベルやアニメにまでゾンビが進出しているありさまである。
ゾンビを今のスターダムにのし上げたのが巨匠ジョージAロメロ監督である。
Night of the LivingDead
Dawn of the Dead(「ゾンビ」)
Day of the Dead(「死霊のえじき」
Land of the Dead
Diary of the Dead
Survival of the Dead
生ける屍という恐怖を描くだけではなく、現代社会への風刺なども盛り込んだ作品はどれも珠玉の傑作である。
これらの傑作が日本に浸透し「バイオハザード」というサバイバルホラーゲームがリリースされる。
ロメロ監督の作品群をファーストインパクトと呼ぶならば、バイオハザードの大ヒットがMade in Japanのゾンビを生み出すセカンドインパクトになったと言っても過言ではない。
バイオハザードはハリウッドに逆輸入され映画化となり、海外でも「28日後...」「アイアムアヒーロー」「REC」など新たなゾンビ像が次々と生み出されていくことになる。
日本でも、セカンドインパクト以降、昨今の「カメラを止めるな!」(OneCut of the Dead)という大ヒット映画も登場し、また「屍人荘の殺人」というゾンビが絡む本格ミステリ小説の傑作も登場した。アニメ「ゾンビランドサガ」では、ゾンビ娘がアイドルユニットを組むという斬新な設定が人気を呼びスマッシュヒットとなった。
これからもますますゾンビは日本で、世界で進化していくのだろう。
一ファンとして新たなゾンビ像の未来を楽しみに待つのである。
「屍人荘の殺人」に興奮して思わずゾンビ史を振り返ってしまいました。
ホラー苦手な人、ごめんなさいね。夏ということでお許しを......。
映画化もうまくいくといいなぁ。□
今日のゲーム
NintendoSWITCH「VIVIET ビビエット」(9点)
スーファミの往年の名作を思い出させるような描き込まれたドット絵に目を引く。
しかもホラーゲームなのである....!!
かつてのスーファミでもホラーゲームはあったが、トワイライトシンドロームやクロックタワーといった実写に寄せたホラーゲームのみであった。
ドット絵でホラーゲームに挑んだというところに、作り手の新規性を感じる。
そしてその期待を壊すことなく、充分に怖い。そして謎解きもしっかり作りこまれていてやりごたえがある。
主人公と妹、そして友人の5人がやってきた孤島の不気味な廃墟。
主人公は妹、友人らとはぐれてしまい、彼らを探すために廃墟に入っていくことになるが、そこで次々と不気味な出来事が起こるのである。
やがて悪霊に取りつかれた妹に追いかけられる展開となる。主人公は攻撃ができない。逃げるのみである。逃げながら廃墟に隠された謎を解明して、脱出を目指すのである。
序盤はシステムがわからず、謎もわからず、化物に追いかけられ、怖い思いをする一方だが、謎が少しずつ解け始めると一気に引き込まれていく。
がっつり悩んで5時間程度のクリア時間だが、全員を救出しないとグッドエンドが見られなくなっている。グッドエンディングのために2,3回やりなおすことになったが、謎が分かっていれば1時間程度。ボリュームも手ごろだ。
おもしろかった。日本人がこの作品に携わっていないことが少し悔しく感じた。
最後の最後に開かない扉が1つだけあって、それだけが気になる。
わかったかたは教えてくだされ.....。□
今日の一冊
「屍人荘の殺人」今村昌弘著 東京創元社(7点)
(注)以下、ネタばれ前提で書きますのでこれからの人は絶対に読まないように!!
神紅大学ミステリー愛好会会長・明智と部員・葉村の二人が、映画研究部の夏合宿に参加する。
彼ら含め「紫湛荘(しじんそう)」と呼ばれるペンションに集まった男女10数名。
合宿とは名ばかりで、本当のところはペンションオーナーの息子である映画研OBが、後輩に女の子を呼ばせ合コンを企てるといういかがわしいイベントであった。
「へんてこな名前のペンションだな」と思いながら読み進むと、事態はとんでもない方向に展開する。
山の向こうのライブフェスティバル会場で行われたバイオテロにより、ゾンビが大量に生み出されるのである。
「紫湛荘(しじんそう)」はゾンビに取り囲まれ「屍人荘(しじんそう)」となり、外部から犯人が入って来られない、前代未聞の「ゾンビによるクローズドサークル」が完成する。
本作は、初のゾンビによるクローズドサークルによる本格推理小説なのであった。まずこの点にびっくりする。
また、主人公は明智と葉村のペアであると思っていたが、明智はなんと序盤でゾンビに喰われてしまい、後から現れた剣崎比留子が明智になりかわり、葉村とペアを組むことになる。
本格推理として、しっかり全てに伏線と説明がつけられている点は見事である。
読後に振り返っても、やっぱり解けなかったとは思うが、作者の挑戦を受け止め、メモを片手に腰を据えて読むべきミステリである。
個人的には、序盤で明智含め、ゾンビの犠牲になった仲間達が出てくるが、彼らの誰かは生きていて、謎解きやどんでんがえしがあるのだと疑っていた。
だが結局、明智も他のメンバーも全員ゾンビになってしまっていた。序盤であれだけキャラ立ちさせた明智を、ゾンビにしちゃった。というのもびっくりであった。
一ゾンビファンとしてロメロ監督につながる「カメラを止めるな」の次なる和製ゾンビの優れた新作がリリースされたことに喜びを感じる。□
大阪二紀展2019
恒例の大阪二紀展が始まりました。
先日開会にあたってのオープニングのレセプションに参加しました。
華やかに見えるかもしれませんが、実は今、大阪二紀展では由々しき事態が起こっています。
レセプション会場に入って真っ先に感じたのです。
「え、これだけ........?」
ここ数年、出品者がどんどん減っていて、レセプション会場も昨年に比べ、またさみしくなったように感じました。
10年間発表を続けてきましたが、ここ数年でみるみる円卓が減っています。組織が痩せ続けているのです。
主たる原因は、若い人が絵画を描かない。というところにあります。
玉に出品があったとしても1,2回作品を出したらすぐに去ってしまう。
あるいは学生が社会人になったタイミングで仕事に時間をとられ、描けなくなった。と言って去ってしまう。
年配の方も去っていきます。体力の限界やご家庭の事情など。
世間的には、瀬戸内国際芸術祭や横浜トリエンナーレなどの芸術祭も華やかだし、美術展覧会の企画も毎年目を引く面白いものが出て来ていて、盛り上がっているというのに......。作家がどんどん減っているのです。
多くの表現手段の中でも、手間がかかり、お金もかかり、見返りも無い「絵画」という表現手段から逃げたくなるのでしょう。アニメや漫画やインスタレーション等、華やかなものが多いですから。
ファインアートの時代は終わったのか!?
否、そうは思いません。
なんだかんだで絵画の歴史も続いて行くものです。
取り組む人は少なくなっても、新しい人たちが作るものはやっぱり時代に関係のない強さを感じます。
時代がどうであろうと、環境がどうであろうと、自分が表現したいものに近づいて行く。僕らはそれを続けて次の世代の作家へバトンをつなげていく。ただ粛々と。ただそれだけです。
なんだか暗い話になってしまったけれど、大阪二紀展開催中です。
お近くにお立ち寄りの方は是非、ご高覧いただければさいわいです。□
たまには怒る。
なるべくカリカリしないようにしているつもりです。
左から来たものは右に受け流すようにしているつもりです。
それでもどうにもこうにも許せないこともあります。
朝の満員電車。
今までどっかりと座っていた輩が、駅に停車するや否や席を立ち、立っている他のお客さんを押しのけて出口に向かう姿に出くわす。それもほぼ毎日のように頻繁に。
..............なんなんだろうか、この人種は!?
そんなのは、立っている人が先に全て下車したのち、そのうしろに続いてゆっくりと席を立ち下車するのが常識ではないのか?立っていた人が降りるのが先でしょう?
そんなに早くおりたいのならば、乗車時に出口のそばに立って乗るべきである。
急ぐ理由があるのだろうが、そんなものも概ねは自業自得である。少し早起きして1本、2本先の電車に乗ればあわてる必要はないのである。
逆に、下りてくる乗客を押しのけて、いちもくさんに乗車し、まっしぐらに席に座ったりする輩もいます。
最早、車内放送で「座っている方は立っている方がおりてから、下りてください」とでも明言してもらわないとわからないのだろうか.....。
いろいろなことを受け流してはいるけど、もうこればっかりは出くわすたびに、毎度毎度カリカリしてしまうのである。おそらく僕の逆鱗なのでしょう。
テレビでは、日本人はマナーが良いだの、オモテナシだの、自らをほめたたえてばかりいるけれど、本当にそうなのだろうか。
まだまだ日本のマナーも原始時代だと思って、謙虚にお互い自らを見直すべきだと思います。
日本にもまだまだ課題、いっぱいありますよ。□