共鳴

夏目漱石作品をもくもくと読んでいる。


なんだかひどく共鳴するのである。


漱石作品はどれも絵である。名画である。


漱石は絵という表現手段をもたなかっただけで、描いている作品はどれも絵そのものだと感じるのである。
実際、作品中にも絵や画家についての描写が多く、漱石自身が絵画に多大なる興味を持っていたのだとも感じられる。
本人も絵を描きたかったのではないか。ただ、描く技能を持たずとも文豪としての技能を有していたから、やむをえず文豪的に表現してみました、といった感じがする。


そこが他の作家との大きな違いと感じられ、おもしろい。


永日小品などについては、文庫本の中に漱石の絵画が並べられているような気すらするのである。□