雨の東照宮

massy2007-07-16

日光東照宮とは約20年ぶりの対面であった。


すごい。すごすぎるよ、日光東照宮


陽明門をはじめとする全ての建築の柱や壁には、これでもかといわんばかりに比類なき豪華絢爛なレリーフの数々が掘り込まれている。
目に触れない箇所までも全く手を抜くことなく、どこまでも丁寧に、色鮮やかな意匠が凝らし尽くされている。三猿や眠り猫、鳴龍どころじゃない。どこを見たらいいのかわからないくらい徹底的に作りこまれている。
その迫力たるや、日本が有する世界文化遺産の中でもナンバーワンと言い切ってしまっても過言ではなかろう。
こんなすげー建築が日本にも残されていたのか.....。


ガイドブックによれば、東照宮は現在の費用に換算して400億円の金額を投入して作られているとのことである。
おそらく当時の最高の技を持つ職人だけが集められ、彼らの全精力を、一生を、この建築のみに注ぎ込んだのだろう。
その費用の莫大であることと、細部への徹底的な作りこみから、徳川幕府初期の権力がいかに大きかったかが伺われる。そのチカラの象徴が東照宮という建築に託されて、今になっても全く色あせずに伝わってくる。そこがすごい。
エジプトならばピラミッド。スペインならばアルハンブラ宮殿。といったところか。
そのようなものが日本にあったことがまた感激なのである。


その日、台風4号は去ったとはいえ梅雨はあけておらず、午後から霧雨のような雨が降り続いていた。が、東照宮一帯の苔もまたその雨に応えるかのように美しかった。
そこここに立ち並ぶ杉並木の根元や岩の上は、モスグリーンに輝く苔で覆われていた。
たぶん誰かが手入れをしているわけでもないのだろう。豪華絢爛な東照宮の強さを抑える品のようなものが苔によって自然にできあがっていた。その調和がまた美しかった。


間違いなく、死ぬまでに必ず見ておきたい世界遺産である。


追伸。
それにしても、20年前の自分は一体何をみたというのだろうか...?
これだけのすごい建築に対し、記憶にあったのは三猿と眠り猫くらいである。
すばらしいものを早いうちから見せたいという大人の思いとは裏腹に、ほとんどの小中学生にはポケモン以外、豚に真珠なのだろうね(当時ポケモンはなかったが)。□