大学生時代の後輩が小学館新人漫画賞の佳作を受賞したらしい。
驚いた。が、その驚きは以前のようにもろく倒れてしまうような「激しい揺れ」ではなく、音叉のように「小さく長く振動した」という程度のものだった。
素直に「がんばってるな」と感心した。
学生のころからポテンシャルの高い男だとは思っていた。
当時漫画研究会の部室にあった落書き帳は、いつも彼のらくがきで埋め尽くされていた。
なんだかグロテスクなモンスターのようなものばかりだったが、画力や迫力はあった。
とにかくエネルギーが溢れていたのだろう。
その発散するまとまりのないエネルギーを、10年かけてようやく制御するに至ったということなんだろう。
パンの耳をかじりながら4畳半で描き続けていたのか。
残業に苦しむ谷間に時間をひねり出してもがき描いていたのか。
今度会うのがいつになるかはわからないが、そのときはそんな舞台裏について語り合ってみたい。□