こんな夢をみた。
同僚が出張先の台湾で足を骨折したと聞いた。
その真偽を確かめるべく上司と二人で台湾へ向かう。
「原因は彼に直接聞いてみてくれ」と上司は言った。
僕は同僚のもとに向かい、骨折の原因を尋ねてみた。
彼は希少種のムシを捕まえたのだが、
現地の台湾人に逃がせ。と強制され、
もめているうちに交通事故にあって骨折したという。
ばかじゃないか。と呆れている自分だったが、
見たこともないトンボを捕まえた。
羽根の部分がステンドグラスのように様々な色合いを
持ち、光り輝いているかつて見たこともない美しい
トンボだった。
そんな美しい昆虫が、今手の中にあって僕の手から
逃げ出そうと、ぶぶぶとあばれているのだった。
僕はこの美しいトンボに強く惹かれてしまう。
僕はきっとこれからの人生で、このような美しい昆虫を
見つけることは決してできないことを確信している。
決してこのトンボを逃がしてはならない。と強く思う。
だが僕の手元には虫籠がない。
なんとかトンボをいれる入れ物はならないかと周りを
見渡すと目の前にキムラタバコ店があった。
「虫かごはありませんか。」
「虫かごはない。けれど大切なものをスクラップする
ためのノートはある。」
僕はようやくスクラップブックを手に入れ、
僕は大切なトンボをノートにようやく挟むことができた。
時折、トンボが逃げてはいないだろうか、トンボに傷が
ついていないだろうかとスクラップブックを開くのだが、
トンボはぶぶぶと動いていてはいる。
だがトンボの形が少しずつ崩れている。僕は怯えている。□