やわらかさ。

やわらかさ。が欲しい。

やわらかさ。とは何か。

例えば4人で酒を飲んでいたとしよう。

楽しくわいわいと盛り上がっていた席だったが、

ふと、1人が「ちょっとトイレ」と席を立つ。

その瞬間、残された3人がなんだか気まずい空気に
包まれることがある。

つまりその去った1人をきっかけにつながっていた
仲間同士であり、3人がその1人に寄りかかっている
ようなシチュエーションである。

3人はこれまでのテンションを落とさないようにと、
彼が戻ってくるまでの間、その間をつなげようとする。

その無茶なネタふりが、残された者に気付かれ、
さらに気まずいいびつな緊張に満たされることになる。

こんなとき僕はいつも思うのだ。

なぜ自分がその1人になれないのか。と。

彼にあって自分にないものはなにか。と。

それがキーパーソンたる人間がもつ「やわらかさ」である。

3人はそのやわらかさに包まれ、彼がいるからこそとして
この会に集まるのである。そういう人間に僕はなりたい。

逆にそんな人間関係を生み出す自分から切に抜け出したいと願う。

そもそも何故、人間は「気まずい」という感情を持つのだろうか。

親友であれば沈黙がいくら続いても全然気にもならないというのに。

振り返ると、自分はいつも「気まずい」と思われる側に回っているように思う。

人間の間で交わされるあの「気まずい」という感覚の根源を自分が生み出すことを
なんとか避けられないものか。とずっと考えている。

やわらかさ。が欲しい。□