能に興味が湧いてきている。
少し前までは般若の面や衣装の渋さに、ただ意味もなく惹かれていただけだったように思うけど、最近は文化的な意義や、物語の詩情、においにすごく惹かれてきている気がする。
先日、市が企画した能の鑑賞会があって「船弁慶」を鑑賞してきた。
義経を海の底に引きずり込もうとする平家の亡霊の猛々しさ。
派手な演出はない。
舞台の上を静かにゆっくりとすり足で進み、時折周り、強く足踏みをする。
それが能の感情を表すスタイルなのである。
こともあろうに静御前の舞を観ていた時「ゴジラだな」と思ってしまった。
舞台の真ん中でゆっくりと無秩序に行ったり来たりを繰り返す「静御前」と「それを見守る義経や従者たち」は、僕にとって怪獣映画でいう「ゴジラ」と「それを見守る地球防衛軍」に、それぞれぴったりと当てはまってしまった。
一見、まったく関係などありえない日本の伝統文化である能と日本を代表する娯楽の怪獣映画やウルトラマンだが、日本が生み出した静の中の動のありかたの深いところでつながっているのかもしれない。能、いいね!□