得意なことを磨く。

車が大好きな職場の同僚が、休日をまるごと費やして自分の車を完全防音対応にしたという。
高速道路を走っていると、走行の騒音で、車内のラジオの音がかき消されてしまうことがある。
彼はその騒音を遮断するために、車の扉の内側に防音板を埋め込む工事をしたというのである。
普通ならばそんな工事は業者に依頼してやってもらうようなものだが、彼にとっては費用を抑えたいという以上に、そんな工事すら楽しい仕事なのであった。
「君もやってみたらいい」という。僕にはとてもそんな面倒なことはできない。

職場の部署の宴会を企画することがある。
人数は100名を超える規模になる。
出欠をとるのも大変だ。
キャンセルする人がでるたびに費用の計算をしなおさなくてはならない。
参加とも不参加とも応えていなかった人がいきなり会場に現れたりする。
一々、面倒で大変な仕事なのだが、幹事の一人は「こんな簡単で楽な仕事はない」という。
僕も長い間、幹事をやっているが、「楽」なんて口が裂けても言えない。僕にとっては、むしろ大変で苦しい仕事である。


ひとそれぞれ「得意なこと」がある。
その得意は、別の人にしてみたら、とても「面倒なこと」「苦手なこと」になったりする。
「得意」というのは一つの才能なのだろう。他の人ができないことを楽しくできることは「価値」になる。
それをさらに磨いて、同じことを得意とする人にも絶対、まねできないほどまでに磨き上げることが出来たら、それは正真正銘唯一無二の価値になるのだろう。

僕にだけできることをもう一度見つめ直して、よりいっそう深い価値に磨き上げたいと考えている。

みんな、自分ではほとんど気が付いてないけど、必ず1つはもってるよね。□