今日の一冊

 

ラプラスの魔女東野圭吾著 角川文庫(7点)

 

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(注意。ネタバレしてます。これからの方は読まない事。)

 

SFサスペンス小説。
異なる2つの温泉地で硫化水素中毒の死者が出た。
地質学者である青江は温泉地から呼ばれ、原因を調査するが、硫化水素中毒が起こるような場所ではない。
調査を進めていく中で、異なる温泉地で若い女性に出くわす。
彼女の存在と事件を紐づけるものは何か。
それを追いかける中で「ラプラスの悪魔」というキーワードが挙がってくる。

砂の上に一辺30cm程度の木製の大きなサイコロを6の面を上にして落とした時、目は何が出るか?
多くの人は、答を6と推察できる。
それをより複雑化していくと、全てのデータや情報、そして膨大な計算量によって世の中の多くの事象の未来は予測できるというのである。
ただ、その計算量はスーパーコンピュータでも時間のかかるもので、通常の人間では算出などできない。だがそれを瞬時に読み当ててしまう存在が「ラプラスの悪魔」なのである。

数か月、1年のうちで、硫化水素が異常にあふれる日時と場所を読み当てし、そこに被害者を誘導し殺害する。

SF的な骨格をベースに、犯人さがしというミステリ要素も兼ね合わせもつ。

面白い。

ただ物語は、犯人と犯人に恨みを持つ青年の戦いになって行くのだが、犯人だけでなく、青年の考え方や行動もなかなか異常で少し置いてけぼりを喰らうような感じもあった。□

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