さようなら、トリセツ。

 

ゲームの取説がなくなって久しい。

 

ゲームを買ったら、まず取説をじっくり読んでからゲームを始めるタイプである。
取説もゲームの一部であると思っているし、ゲームはテレビの中だけに映されているから、紙媒体でゲーム画面やキャラクターを見たり、手元に置いておく手段としても、取説というものを大切に思っている。

だけど、いま、取説は全てネットに移っていった。

かつてのファミコンのようなAボタン、Bボタンで操作できるシンプルな時代から、ゲーム機のボタンはどんどん増え、2つから4つ、4つから6つ。

そして今、PS4では10個以上ものボタンがコントローラに備え付けられている。

ゲームの規模も膨れ上がり、クリアまで50時間、100時間を超えるものも普通である。
当然、ゲームの操作方法やシステムも、ますます難しくなっている。
取説の重要性は、これらに比例してますます上がっていくはずである。
だのに、それとは逆行して、取説をなくす、取説はネットで開示する。という時代になった。

ゲームはダウンロードで買うことが主流になっている。買うのはゲームのみで取説はついていない。

パッケージでも販売されているが、取説は入っていない。
パッケージをあけると真ん中にちょこんと小さなゲームカードが1枚入っているだけである。なんともさみしいものだ。
パッケージ販売は、やり終わったゲームを中古に売るための手段として残されているようなものだ。

ということで、取説はネット上におかれる時代になったが、メーカーが自社サイト上につくった取説は、多くは取説としての要件を満たしていないものが多いように思う。
操作方法はもちろん、ゲームのストーリーの概要、画面構成とそれらの意味、キャラクター説明、そしてちょっとした裏技。これらを詳細に書いてもらう必要がある。
ネット上の取説には、ざっくりしたことは書かれているが、画面の中に表示される小さなアイコンの意味とか、シーンによっておこる特殊な操作の仕方、システムの詳細など、細かい点はほとんど書かれておらず、知りたいことが手に入らない。

だが、そこは、第三者が作る攻略サイトにゆだねられている。
別に公式というわけでもないのだろうけど、メーカーとしてもファンが勝手に作ってくれるであろう攻略サイトに細かい説明をゆだねてしまい、あまり取説づくりに時間をかけていないように思う。

結果、プレイヤーは、メーカーの取説サイトはほとんど見ず、ネット上に転がる攻略サイトやら動画やらの様々なユーザからの情報を自ら集めながら、なんとなくゲームのシステムに慣れていくというのが主流になった。なってしまった。


さて、前置きが長くなったが、「モンスターハンターアイスボーン」をやっている。

2ndGや3rdといった携帯ゲーム機向けのモンスターハンターシリーズには、取説があったが、以来、モンスターの数が増え、システムも複雑になり、今から思うと取説時代の末期だったのだろうと思う。
あの時代の取説が今も続いていたとしたら、中綴じで200ページ規模の取説になっていたのではないかと思う。作るのはとても大変だろうし、パッケージには収まり切れないから、別冊付録にしなくてはなるまい。
(それでも今もそれが欲しいし読みたいと思っているが)ネットにゆだねられたのは時代として仕方がなかったのかもしれない。

取説の喪失は、個人的にはとても残念なことなのだが、大きくシステムの変更がされたこの度のモンスターハンターアイスボーンを手探りでやりこんでいく中で、骨格だけをなんとなく理解してプレイしていたゲームに隠された膨大な情報が、ちらりちらりと見え始めることに快感を感じ始めている。

この画面のアイコンはなんだ、と知らないことを調べて、そうだったのか。という発見が小出しに出てくること。
そんなギミックが、1つ2つではなく、多数あり、それらがゲーム全体を覆っていることに、新しい発見のわくわくがあることに気づき始めている。

オンラインで一緒にプレイしている友人が、モンスターにまたがって移動をしているのを見て、どうやってやるのか。と。
調べてみると、マップ上に隠れて生きている獣人という生き物たちの、お困りごとを解決してあげていくことで、獣人とオトモダチとなって、モンスターにまたがるというスキルを教えてもらえるというのである。
こんな大切なことすらも、取説がなくては知るよしもない。偶然友人らの口コミから手に入れた情報なのだった。

f:id:massy:20200621134359p:plain

f:id:massy:20200621134413j:plain

なんともすごい時代になったものだと、去っていくかつての取説時代を、懐かしく、切なく思いながらも、新しいこの時代に順応している自分を、なかなか楽しんでいる。□