今日の一冊

 

「スイート・マイホーム」 神津凛子著 講談社

 

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(以下、自分へのメモ。ネタバレしてるのでご注意)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・長野の寒い家に暮らす若い夫婦=イケメンインストラクターのケンとその妻。二人の幼い娘。

・地下室に暖房が埋め込まれた新しいあたたかい家を購入するが、そこで次々と怪異が起こる。

・ずっと天井を見て笑っている赤ん坊の眼に人間の顔が映り込んだり、ダクトから長い髪の毛が垂れていたり、遊びに来た女友達の息子がかくれんぼをしていて地下室に入り込み、不気味な存在を見つけたり。

 

・ホラーのなのか、ミステリーなのか。

全て「怪異」で説明されてはずるいという気がしていた。
「怪異」で押し切るにはもっともっとイカレていないといけない。「リング」の貞子のように。
結果、ミステリーで、犯人はこの家を建てた女・本田。
理想の家・家族を求め、理想の家で暮らす家族の家の天井裏や地下に忍び込み、生活を共にすることで、理想の生活を手に入れたつもりになっているサイコパスであった。

・容姿にコンプレックスがあるとされる同僚の甘利が警鐘を声がけする姿に、やばいやつ。危険な奴。という描写がされ、ミスリーディングされるが、本当はまじめな働き者。
見えている姿は、実際の姿と違うというミスリーディングする手法はうまい。

・精神病をわずらった兄と暮らす母。
妄想をし突然襲い掛かってきたりする兄を母に押し付け、結婚生活を送っていることを後ろめたく感じている主人公・ケン。
実は、兄がおかしくなったのは、暴力の酷い父を殺したケンをかばってのことだった。本田がケンの家に忍び込み娘たちを襲うとしていたとき、兄が本田と戦い殺されるが、なぜ兄は気づけたのか。といったところは「怪異」としている。


・物語の中盤くらいで犯人=本田が発覚してしまうが、それから後半は特にどんでん返しもなくその通り終わる。物語の後半まで温存できなかったか。とも思う。

・ラストでおかしくなってしまった妻が、娘の眼をおそれてつぶしてしまうというラストや、本田が父の建てた家を眺めていたときに、住人に声を掛けられレイプされてしまう描写等の残虐な描写はすこしきついように感じた。□