急ぐ人

 

「急ぐ人」がいる。

 

以前、函館を旅した時、ハリストス教会をスケッチしていたら、
タクシーがすっと横に来て停まり、
中から客と思われる男性がおりてきて、カメラで1枚写真を撮ると、
すぐにまたタクシーに乗り込んで、去っていった。
その間わずか30秒程度....。
自分はここに来てから1時間以上、同じ場所に座って絵を描いていたのだが。

 

外食をしていたとき、隣のテーブルにカップルが座った。
カップルは知らない間に食事を終え、いなくなっていた。
すぐに次の客が座った。
だが次に見ると、既にその客はいなくなっており、また別の客が座っている。
結局、自分が食事を終えるまでの間に、4~5組の客が変わっていたりする。
自分は食事をするのが遅い。
だけど、みんな、食べるのが早すぎないか。急ぎすぎていないか。と思ってしまう。

 

忙しい時代である。

慌てたところで、体は一つ。

できることは限られている。

 

それでも、次!次!次と、

次にすべきなにかを考え、警戒し、備えようとしているように見える。

 

そういう自分も、急ぐ人のひとりではあるけれど、

誰もが、大切にするものは違うとは思うけれど、

僕は、食事の時間と、作品を楽しむ時間には余裕を持ちたいと思うのです。□