京都に、養源院という名所がある。
出会いのきっかけは、かなり前(たぶん20年くらい前になるか)、Lマガジン社が発行していた、京都のアートを紹介する、といった雑誌で、養源院にあるという俵屋宗達の白象図が紹介されていた。なんとも前衛的な表現に衝撃を受け、すぐに見に出かけた。
以来、自分にとっては養源院は特別な場所で、今なお京博等にでかけた帰りに、ぶらりと立ち寄ることも多い。
「ここに血が残っています」
養源院のみどころは、主に俵屋宗達の作品たちだが「血天井」があることでも有名だ。
説明員が、長い棒を天井に指し示して、血痕が残っていることも説明してくれた。
だけど、それが、かの鳥居元忠が伏見城で、石田三成の軍勢と戦ったときの痕跡であるということは、記憶から飛んでいた(というか記憶にすらなかった)。
大河ドラマ「どうする家康」の第42話「天下分け目」で、徳川家康の忠臣である、鳥居元忠の伏見城での戦いが描かれていたが、その伏見城の床板が、長く親しんできた養源院の血天井として残されていることが、脳の中で、はじめてつながったのであった。
大河ドラマを通じて、鳥居元忠という人物を知ることが無かったら、こんな強烈なつながりは体験できなかっただろうと思う。
いろいろなところにでかけて、いろいろ見てはいても、自分の知識や理解の浅さで見落としているものが、なんと多いことか。
逆に、だからこそ、史跡を何度でも訪れ、発見していく楽しみがあるのだが。
近いうちに、改めて養源院を訪れてみたい。
やっぱり、京都はおもしろい。
やっぱり、歴史はおもしろい。□